炭素回収は気候変動の解決策になり得るか?
ジェニファー・ウィルコックス博士、フィラデルフィアの自宅にて。「(米エネルギー省の)化石エネルギー・炭素管理局の以前の任務は、国内での化石燃料の生産を増加させることだった。今は、化石燃料に依存し続けることによる気候や環境への影響を最小限に抑えるためのアプローチや技術への投資が中心になっています」 Michelle Gustafson for The New York Times

炭素回収は気候変動の解決策になり得るか?

炭素回収は気候変動の解決策になり得るか?米国エネルギー省の化石エネルギー・炭素管理局で指導的な役割を担っているジェニファー・ウィルコックス氏は、大きな課題はあるが「イエス」だと言う。

ニューヨーク・タイムズ

[著者:Paul Tullis]毎年、人類は約500億トンの二酸化炭素やその他の温室効果ガスを大気中に送り出している。気候変動に関する政府間パネルからの数々の連続した、ますます強力な報告書によると、温暖化する地球による最悪の影響を避けるためには、この数字を2050年までにゼロにする必要があるそうだ。

しかし、この科学的なコンセンサスに直面しながら数十年間何もしなかった結果、排出量は増大し、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーへの移行などによる削減では限界が来ている。

コロンビア大学グローバルエネルギー政策センターのフリオ・フリードマンは、「40ギガトン削減する方法はわかっている。つまり、10ギガトンの除去が必要なのだ」と語った。

彼は、CCSとして知られる「二酸化炭素回収・貯留」技術について言及している。本質的には、大気中またはその排出源から二酸化炭素を吸い出し、どこかに閉じ込めることである。

20年近く前、ジェニファー・ウィルコックスは、二酸化炭素の除去がネットゼロエミッション達成の鍵になると考えていた。スタンフォード大学化学工学部教授であったウィルコックスは、二酸化炭素の吸収に優れた植林や湿地の再生など、自然を利用した解決策だけでは限界があることに気づく。大気中の二酸化炭素を吸収する必要があるのだ。そこで2012年、彼女はその方法について教科書を書いた。全米科学アカデミーは2018年にウィルコックスの見解に賛同し、必要な量を除去するためには技術の開発と進歩が必要であると報告した。

45歳のウィルコックスは現在、米エネルギー省の化石エネルギー・炭素管理局で、そのための指導的役割を担っている。しかし、100億ドルを炭素回収・貯留への投資に振り向けることは、仕事の一部に過ぎない。実証済みの技術を安価に、大規模に、そして場合によっては他のシステムと統合して作らなければならない。また、発電所や工場などの二酸化炭素の発生源や、直接空気捕集と呼ばれるシステムを通じて、自然界に配備されなければならない。また、回収したガスを何世紀も保存できるような場所を見つけなければならないが、これがなかなか難しい。ウィルコックス博士とは数十年来の付き合いであるフリードマンは、「彼女はこの仕事の道筋をあらゆる角度から説明してくれた。彼女は毎日、どうすればクリーンなエネルギー技術を開発できるかを考えているのだ」と語っている。

このウィルコックス博士へのインタビューは編集・要約されている。

この記事は有料会員のみご覧いただけます

購読する
既にアカウントをお持ちの方 ログイン