マイクロソフトのクラウド、サーバー不足に苦しむ スクエニFFの障害要因にも

世界的な供給不足の中、世界中のMicrosoft Azureデータセンターは、顧客に提供できるサーバーの容量が制限された状態で運用されている。

世界各国にある20以上のAzureデータセンターでは、顧客に提供できるサーバーの容量が制限された状態で運用されていると、この問題に取り組んでいるMicrosoftの現マネージャー2人と大手顧客で働くエンジニア1人が米メディアThe Informationに対し語っている。また、ワシントン州中央部にある主要なデータセンターをはじめ、ヨーロッパやアジアにある6つ以上のAzureデータセンターでは、来年初めまでサーバーの容量が制限される見込みであると、Microsoftのマネージャーの1人は述べているという。

容量の問題は、いくつかの要因に起因しているようだ。The Informationによると、主なものは、チップやその他の部品の世界的な不足で、新しいハードウェアの入手が難しくなっていることだと、Microsoftの現マネージャーは述べているという。この点ではMicrosoftだけではなく、AWSやGoogle Cloudも一部のデータセンターでサーバーのキャパシティ不足に悩まされていると、両社の顧客企業に勤める人物はThe Informationに対して語ったという。

しかし、Microsoftはパンデミックのずっと前からAzureの顧客に十分な容量を提供するのに苦労しており、また、アップグレード時期を迎えた老朽化したサーバー、ストレージ、ネットワーク機器を大量に抱えているため、チップ不足はより大きな打撃を与えているようだと、Microsoftの管理者の1人は述べている。

中でもゲーム会社のスクウェア・エニックスは、サーバー不足のためにデータセンターを立ち上げることができず、人気ゲーム「ファイナルファンタジーXIV」に多くの人がアクセスできない状況に陥った

ここ数カ月、Microsoftは、顧客が特定の地域で将来的にクラウドの容量を要求してくることを注視しており、場合によってはその要求を、重要なウェブサイトやビジネスアプリケーションを稼働させ続けるために必要な量に限定していると、Microsoftのマネージャーは同メディアに対し述べている。Microsoftはまた、顧客が事前に要求できるサーバーの容量に制限を設けているという。

Microsoftは最近、世界の一部の地域で、より多くのデータセンターを立ち上げ、1つのデータセンターがオフラインになっても他のデータセンターにトラフィックを転送できるようにすることに重点を置いている。その結果、個々のデータセンター内のサーバー容量を拡大することが犠牲になり、一部の顧客の問題を悪化させたと、Microsoft社のマネージャーの1人は述べている。

同メディアが取材したMicrosoftに近い人物とAzureを使用しているFortune 500企業の役員によると、Microsoftは容量の問題を回避するために、自社のクラウドコンピューティングのニーズを他のデータセンターに移動してAzureの顧客のために容量を確保するなど、多くの戦術を駆使しているとのことだ。Microsoftはサーバーの容量を割り当てる際、新規の顧客や地域よりも既存の顧客を優先すると、同社に近い人物は述べている。

Microsoftのマネージャーの1人によると、ワシントン州の主要データセンター「West US 2」やアジア、ヨーロッパの他のデータセンターでは、サーバー容量の不足が来年初めまで続く見込みとThe Informationは報じている。