米国は半導体関連の禁輸を過去最大級に拡大、中国つぶし露骨に

米国は中国への半導体やチップ製造装置の販売に過去最大級の大幅な制限を設け、中国が重要な技術にアクセスするのを抑制しようとした。中国が重要技術を国内に集約し切る前にデカップリングする戦略と考えられる。


先週7日に公開された[規則の改定]では、中国への半導体技術の販売に新たな制限を設けることを発表した。米国の外交政策や国家安全保障を損なうために使用される恐れがあるとして、規制対象の米国のチップ設計および製造ツールの輸出を事実上禁止している。

要約すると、中国が「習得」する前に、米国が先端技術のサプライチェーン全体を強引にデカップリングしているということだ。AIやHPCチップなどの先端ロジックは制限される。16nm以上のマイナーロジックチップ、FinFETやGate All Aroundなどの非平面型ロジックチップ(3次元集積化チップ)、128層以上のNAND、ハーフピッチ18nm以下のDRAMの設備が制限される。中国の多くの大手企業や大学は、ヨーロッパ、日本、台湾、韓国、シンガポール、インドのすべての大企業を含むアメリカのサプライチェーンにアクセスできなくなる。

この規則には、米国外のファブに対する米国のツールやEDAソフトを使うチップをも対象とするため、台湾積体電路製造(TSMC)は中国のファブレス企業と協業することができなくなる。改定された規則では、特定の種類のマイクロコントローラ、アナログチップ、超伝導デバイス、センサーなどをめぐる多くの制限事項が概説されている。

こ20ページの改定された規則は、ウェーハ製造業界のほぼすべての分野を対象としており、非常に広範囲に及んでいる。これらの制限のいくつかは、非常に広範囲であるため、特に呼び出された高度なものだけでなく、はるかに高度でない半導体プロセスも麻痺させると考えられている。

トランプ政権による通信大手ファーウェイへの取り締まりと似ているが、新規則は範囲がはるかに広く、数十社の中国企業に影響を及ぼす。また、積極的だが散漫と見られていたトランプ政権のアプローチとは異なり、この規則は、さまざまな中国のテクノロジー企業への最先端技術の輸出を止め、中国が高度なチップを自ら生産する能力の構築を断ち切るという目的が明確だ。

中国は「スーパーコンピューティング能力の開発に資源を注ぎ込み、2030年までに人工知能の世界的リーダーになろうとしている」と、テア・ロズマン・ケンドラー米国商務省輸出管理担当次官補は述べている。「これらの能力を用いて、自国民の監視、追跡、サーベイランスを行い、軍事的近代化を煽っている」

中国外交部の毛寧報道官は土曜日、今月から施行されるこの措置は不公平であり、「米国企業の利益も損なう」と述べた(公式ブリーフィング原稿より)。「(この措置は)世界の産業とサプライチェーン、そして世界経済の回復に打撃を与えるものだ」。

この申請は、米商務省産業安全保障局(BIS)が半導体製造に使用される電子設計ソフトウェアおよびテスト機器の輸出に関する規則の改訂版を発表したことを受けて行われた。

過去数カ月間、ホワイトハウスは中国の国内半導体産業を抑制するための取り組みを強化してきた。バイデン政権は、数週間前、商務省がチップ製造装置の生産を担当する米国の著名企業3社(KLA Corp、Lam Research、Applied Materials)に対して、明確なライセンスなしに中国に装置を輸出することを禁止する警告を出していた。

リストに掲載された最大手のチップメーカーの1つが、DRAMとNANDの大手メーカーである長江メモリ (YMTC)である。YMTCは中国政府の半導体戦略の重要な駒であり、政府が運営する巨大ベンチャーファンドから大量の資金が注ぎ込まれている。AppleはYMTCからチップを調達していると報じられ、上院情報委員会の副議長であるマルコ・ルビオ上院議員(共和党)が「アップルは火遊びしている」と牽制。ルビオ議員ら超党派議員4人がアブリル・ヘインズ国家情報長官宛てに、これらが米国の安全保障にもたらすリスクを分析・検証するよう求める書簡を送付するに至っている。