米司法省、トランプ氏を司法妨害で訴追する十分な証拠確保-関係者

米司法省ではトランプ前大統領を司法妨害で訴追するための十分な証拠を得ていると複数の検察官が判断している。ただ実際の訴追につながるかどうかは全く分からない。

米司法省、トランプ氏を司法妨害で訴追する十分な証拠確保-関係者
ドナルド・トランプ氏。Photographer: Chris Kleponis/Polaris/Bloomberg

(ブルームバーグ):米司法省ではトランプ前大統領を司法妨害で訴追するための十分な証拠を得ていると複数の検察官が判断している。ただ実際の訴追につながるかどうかは全く分からない。

事情に詳しい複数の関係者によれば、機密文書を巡る捜査はまだ、ガーランド司法長官に正式な勧告を上げるに至っていない。訴追の是非は最終的にガーランド長官の承認次第だという。トランプ氏を巡っては複数の刑事捜査が進行しており、司法妨害の罪だけで訴追に至る可能性は低いとも、関係者らは話した。

トランプ氏が2024年の大統領選出馬を検討していることもあり、連邦捜査局(FBI)内では政治的な影響力が大きい事件で訴追に踏み切ることに反対する捜査官がいる一方、訴追を支持する捜査官もいる。関係者らは未公開の情報であることを理由に匿名を条件に話した。最終決定を下すのはFBI捜査官ではない。

米司法省は8月5日にフロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」から文書を押収する捜索令状を取得するための宣誓供述書で、司法妨害罪で訴追する可能性があるとしており、司法妨害は機密文書の取り扱いを巡る捜査の一部だとこれまでに示唆している。しかし11月8日の中間選挙前に訴追に至る、あるいはそれが開示される可能性は低く、早くてもクリスマス休暇より後になるだろうと関係者らは述べた。

かつてFBIで情報担当のアシスタントディレクターを務めたフランク・フィリウッツィ氏は「トランプ氏に対してはいろんな捜査が進行しているが、司法妨害罪はスラムダンクだ。訴追はあると思う」と述べ、「年内に司法妨害で訴追されない理由は考えられない」と続けた。

原題:Trump Prosecutors See Evidence for Bringing Obstruction Case (1)(抜粋)

© 2022 Bloomberg L.P.

Read more

米国のEV革命は失速?[英エコノミスト]

米国のEV革命は失速?[英エコノミスト]

米国人は自動車が大好きだ。バッテリーで走らない限りは。ピュー・リサーチ・センターが7月に発表した世論調査によると、電気自動車(EV)の購入を検討する米国人は5分の2以下だった。充電網が絶えず拡大し、選べるEVの車種がますます増えているにもかかわらず、このシェアは前年をわずかに下回っている。 この言葉は、相対的な無策に裏打ちされている。2023年第3四半期には、バッテリー電気自動車(BEV)は全自動車販売台数の8%を占めていた。今年これまでに米国で販売されたEV(ハイブリッド車を除く)は100万台に満たず、自動車大国でない欧州の半分強である(図表参照)。中国のドライバーはその4倍近くを購入している。

By エコノミスト(英国)
労働者の黄金時代:雇用はどう変化しているか[英エコノミスト]

労働者の黄金時代:雇用はどう変化しているか[英エコノミスト]

2010年代半ばは労働者にとって最悪の時代だったという点では、ほぼ誰もが同意している。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの人類学者であるデイヴィッド・グレーバーは、「ブルシット・ジョブ(どうでもいい仕事)」という言葉を作り、無目的な仕事が蔓延していると主張した。2007年から2009年にかけての世界金融危機からの回復には時間がかかり、豊かな国々で構成されるOECDクラブでは、労働人口の約7%が完全に仕事を失っていた。賃金の伸びは弱く、所得格差はとどまるところを知らない。 状況はどう変わったか。富裕国の世界では今、労働者は黄金時代を迎えている。社会が高齢化するにつれて、労働はより希少になり、より良い報酬が得られるようになっている。政府は大きな支出を行い、経済を活性化させ、賃上げ要求を後押ししている。一方、人工知能(AI)は労働者、特に熟練度の低い労働者の生産性を向上させており、これも賃金上昇につながる可能性がある。例えば、労働力が不足しているところでは、先端技術の利用は賃金を上昇させる可能性が高い。その結果、労働市場の仕組みが一変する。 その理由を理解するために、暗

By エコノミスト(英国)
中国は地球を救うのか、それとも破壊するのか?[英エコノミスト]

中国は地球を救うのか、それとも破壊するのか?[英エコノミスト]

脳腫瘍で余命いくばくもないトゥー・チャンワンは、最後の言葉を残した。その中国の気象学者は、気候が温暖化していることに気づいていた。1961年、彼は共産党の機関紙『人民日報』で、人類の生命を維持するための条件が変化する可能性があると警告した。 しかし彼は、温暖化は太陽活動のサイクルの一部であり、いつかは逆転するだろうと考えていた。トゥーは、化石燃料の燃焼が大気中に炭素を排出し、気候変動を引き起こしているとは考えなかった。彼の論文の数ページ前の『人民日報』のその号には、ニヤリと笑う炭鉱労働者の写真が掲載されていた。中国は欧米に経済的に追いつくため、工業化を急いでいた。 今日、中国は工業大国であり、世界の製造業の4分の1以上を擁する。しかし、その進歩の代償として排出量が増加している。過去30年間、中国はどの国よりも多くの二酸化炭素を大気中に排出してきた(図表1参照)。調査会社のロディウム・グループによれば、中国は毎年世界の温室効果ガスの4分の1以上を排出している。これは、2位の米国の約2倍である(ただし、一人当たりで見ると米国の方がまだひどい)。

By エコノミスト(英国)