10兆円規模の日本のスタートアップ振興のカギは税制改革
自民党のスタートアップに関するグループのトップである平井卓也氏は「お役所仕事」の緩和を訴え、税性格を求めている。日本政府は5年間で投資を10倍にすることを目指している。

(ブルームバーグ) -- 新興高成長企業を支援する自由民主党の議員によると、毎年10兆円の投資を新興企業に振り向ける日本の推進には税制改革が不可欠だという。
与党の提案によると、政府は2022年末までに、新興企業への資金を10倍に増やすことを目指す5カ年計画をまとめることになっている。
平井卓也氏によれば、この計画にはクリプト(暗号通貨)関連税制の改正、ストックオプションの規則やエンジェル投資に対する課税の更新が含まれるはずで、日本のスタートアップ・エコシステムは他国に比べて遅れをとっていると見ている。また、ベンチャーキャピタルも重要な役割を担っているという。
2020年後半から日本初のデジタル担当大臣を務めた平井氏は、「スタートアップに優しい環境を作るために、税金や規制を見直す必要がある」と述べた。スタートアップの奨励は、グリーンテクノロジーやデジタルテクノロジーへの投資とともに、成長戦略として大きな意義があるという。

岸田文雄首相が掲げる「新資本主義」構想では、新興の技術や企業に対する国の姿勢を見直すことが重要な位置を占めているようだ。岸田氏が成長と分配という2つのビジョンを成功させるためには、具体的な経済拡大の源泉が必要だ。
平井氏は、企業が保有する暗号資産のペーパーゲインに課税する現行制度を改め、実現した利益のみに法人税がかかるようにする必要があると述べた。また、中小企業向けのルールを適用するのではなく、新興企業のニーズに特化した新しい法律が必要だとも述べた。
「適切な起業家ビザ制度が必要だ」と平井氏は語る。
国内総生産に対する日本のベンチャーキャピタル投資は、他のG7諸国やそれ以上の国々に比べて遅れていると、平井氏は付け加えた。主要なベンチャーキャピタルへの投資を行っている企業は、そうでない企業に比べ、生産性が60%高い傾向にあると平井氏は指摘する。
「加速の度合いが全く違う」と平井氏は、ベンチャーキャピタルに助けられた米国の大手ハイテク企業の成長率に言及した。「GAFAや米国を見ればわかる。規模もそうですが、スピードもある」
与党はすでに、4月に発表したデジタル化提言の中で、年金積立金管理運用独立行政法人が資産の1%をベンチャーキャピタルに投資することを提案している。これは、約2兆円をベンチャーキャピタルに注ぎ込むことになる。
また、海外のベンチャーキャピタルに1兆円の投資を求めるという提言もあり、これはイスラエルでの同様のプログラムをモデルにしたアイデアだ。
平井氏は、「海外の機関投資家を見ると、リターンが非常に高い」と述べ、市民に十分説明すれば、もっとリスクを取ってもよいと主張した。「年金基金のポートフォリオにベンチャーキャピタルが入っていてもおかしくはない」
その他、平井氏のコメント
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、日本政策投資銀行(DBJ)といった半官半民の組織が、スタートアップに多くの資金をもたらす鍵になる。
- 5月にロンドン市内で行われた岸田氏の講演では、スタートアップ、Web3イノベーションの優先順位が示された
Yuko Takeo, Emi Urabe, Yuki Hagiwara. Tax Reform Seen as Key for Japan’s $74 Billion Startup Push.
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