東京の円トレーダー、1ドル=130円を視野に入れる
2018年7月7日(土)、神奈川県川崎市で写真撮影用に並べられた日本の1万円札。Photographer: Akio Kon/Bloomberg

東京の円トレーダー、1ドル=130円を視野に入れる

東京の市場関係者の間では、円は今後数カ月で20年来の安値である1ドル=130円を超えて下落を拡大し、その後落ち着く可能性があるというコンセンサスが形成されつつある。

東京の市場関係者の間では、円は今後数カ月で20年来の安値である1ドル=130円を超えて下落を拡大し、その後落ち着く可能性があるというコンセンサスが形成されつつある。

日銀の黒田東彦総裁が金融緩和の決意を改めて表明し、米連邦準備制度理事会(FRB)とは対照的に、円は2002年以来最も安い水準まで下落した。投資家は、日米の金利差がさらに広がることは避けられず、通貨の下落を抑えようとする政府関係者の努力に勝ると考えているようだ。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「日本は貿易赤字に苦しみ、金融緩和からの脱却が主要国の中で最も遅れているため、円を買う理由はない」と述べた。「円は今年中に130円に到達する可能性がある」という。

円の次の主要なテクニカルレジスタンスは1ドル130円以上

日本の通貨は今年、フリーフォール(自由落下)している。ハト派的な日銀が国内利回りを床に固定する一方、FRBの積極的な利上げへの期待から米国債利回りが急騰しているためだ。円はまた、日本が商品輸入国であることから苦境に立たされており、対ドルでは8%以上下落し、10カ国・地域(G10)中最も悪いパフォーマンスとなっている。

木曜日の東京市場では1ドル=125円40銭前後で取引された。

1ドル130円は、2002年の高値135円強に大きなテクニカルバリアがないとしても、日本のプレーヤーが通常好む良い数字である。しかし、米国のトレーダーがFRBの利上げに対する最も積極的な賭けを縮小しているため、通貨の下落ペースは鈍化すると予想されている(わずか1カ月余りで10円安)。

オフィスFUKAYA コンサルティング代表(東京)の深谷幸司代表は、「(円ドルの)通貨ペアの上昇トレンドが維持されているため、年末までに130というラウンドナンバーが見えているが、市場はエネルギーを使い果たしているため、ここからのペースは緩やかになるだろう」と語った。投資家が米国の利上げの終了と経済への悪影響の可能性を認識し始めると、通貨ペアは来年にピークを迎えると、彼は付け加えた。

政策のコントラスト

円安は輸出の多い日本経済にとって有益と考えられてきたが、最近の円安は商品価格の高騰が企業や消費者に与える影響を以前よりはるかに厳しくしている。

そのため、トレーダーは日本の政策担当者のコメントに注目するようになった。政策担当者は、通貨の動きや経済に害を及ぼす可能性について、これまで以上に声を荒げるようになったのだ。

鈴木俊一財務相は2日、今後の為替動向を「警戒」すると述べ、松野博一官房長官は米国などの当局と緊密に連携していくと述べた。

利回り圧力

JPモルガン・チェースの日本市場調査本部長である佐々木融によれば、ベンチマークとなる国債利回りが3%に上昇し、日本株との差が2.75%になった場合、ドル円は128円台半ばまで上昇する可能性があるとのことだ。しかし、円の実質実効為替レートは50年来の低水準にあり、130円を超える可能性は低いと佐々木は指摘する。

日本の対米金利差は上昇し、円を圧迫している。

佐々木は「ドル/円が130円を超えて上昇することは、バリュエーションから見て非常に割高であり、ますます難しくなっている」と指摘する。「日本の貿易赤字と円安のスパイラル、あるいは日本の家計からの資本逃避など、何か悲惨な事態が起こることが必要だ」

ワイルドな展開

それでも、円の苦境はまだ始まったばかりだと考える人もいる。ファイブスター・アセット・マネジメントのアナリスト、岩重達弘は、ドル円の130円は通過点に過ぎず、来年3月末には150円に達する可能性があるという。

「そのような乱高下が起こる可能性は十分にある」と岩重は言う。「日米のイールド・ダイバージェンスは拡大する一方だ。全く逆の政策方向からのインパクトはかなり強い」

Chikako Mogi. Tokyo’s Yen Traders Zero In on Further Losses to 130 per Dollar. © 2022 Bloomberg L.P.

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