気候変動が北米西海岸の生態系維持に重要な12種に大きな影響を及ぼす

マギル大学生物学部のジェニファー・サンデー教授とワシントン大学アースラボ内のワシントン海洋酸性化センターのテリー・クリンガー教授が率いる新しい研究では、今後80年の間に、気候の影響が北米西海岸に独自の海中道路である「カリフォルニア海流海洋生態系(CCME)」に生息する経済的・文化的に重要な12種に大きな影響を及ぼすと警告している。

この地域の北部と海岸に近い地域は、海洋条件の変化に対して、この環境下で最も強い反応を示すだろう。この地域では、天蓋を形成するケルプ(ミネラルを多く含んでいる海藻)が大幅に減少し、レッドウニ、ダンジネスクラブ、カラス貝の生存率が低下し、カタクチイワシとピンクエビの好気性生息地が失われると予想される。

CCMEは、カリフォルニア州の最南端からワシントン州にかけて広がっている。冷たく栄養豊富な海水が季節ごとに上昇するこの海流は、オキアミ、イカ、魚、海鳥、海洋哺乳類など、より大きな食物網の基幹となっている。しかし、気候変動とそれに伴う海の水素イオン指数(pH)、水温、酸素濃度の変化がCCMEを変化させており、しかもそれは良い意味での変化ではない。

気候変動の影響は複雑

複数の環境変数がもたらす生物学的影響を一度に評価することは、気候感受性の研究が複雑であることを示している。例えば、予想される環境変化の中には代謝を高め、消費と成長を増加させるものがあるが、それに伴って他の変数、あるいは同じ変数が変化すると、生存率が低下する可能性がある。特に、食物や酸素を含む水などの資源が限られている場合、(サイズや消費量、運動量などの)生理学的な増加は必ずしも有益とは限らない。

研究では、モデル化されたすべての気候変動の影響のうち、海洋酸性化は、ある種では個々の生物学的速度の最大の減少に、他の種では最大の増加に関連した。この結果は、正確で実用的な情報を提供するための継続的な調査とモニタリングの必要性を強調しているという。

この論文の筆頭著者であるマギル大学生物学部のジェニファー・サンデー助教授は、「今こそ科学に基づく行動を加速させるときだ」と述べている。「科学的情報、予測モデル、モニタリングツールを地域や地方の意思決定に組み込むことは、海洋資源のスチュワードシップを促進し、私たちを支える海洋生物の避けられない変化に直面する人間の福利に貢献することができる」