トランプ前大統領の腹心が司法取引に応じ証言せざるを得なくなった理由

トランプ前大統領の腹心が司法取引に応じた。アレン・ワイセルバーグは15件の訴因について認める代わりに、裁判官はワイセルバーグが司法取引を行うための公聴会を設定した。彼が証言せざるを得なくなった理由とは何か。

トランプ前大統領の腹心が司法取引に応じ証言せざるを得なくなった理由
8月18日、ニューヨークの刑事裁判所を出るアレン・ワイセルバーグ。Jeenah Moon/Bloomberg

(ブルームバーグ) -- まず、マー・ア・ラゴに踏み込みが行われた。そして、ドナルド・トランプ前大統領が5回目の証言をした。そして最後に、法廷での決定的な敗北となった。

前大統領とトランプ氏の一族事業コングロマリットである「トランプ・オーガナイゼーション」にとって、わずか1週間の間に起きた相次ぐ法的な後退は、同社の最高財務責任者(CFO)であるアレン・ワイセルバーグが詐欺と脱税で有罪を認めるようプレッシャーをかけた。そんな中、ワイセルバーグはマンハッタンの陪審員から公正な裁判を受けられないのではないかと心配するようになったと、彼の考えをよく知る人物は言う。

木曜日の朝、15件の訴因について有罪答弁(編注:通常の事実審理を経ずに直ちに量刑手続に入ること)する決断をする前に、1年以上訴因と戦い、裁判の可能性を準備していた75歳のワイセルバーグにとって、これは急転直下の出来事だった。しかし、裁判で勝てるという彼の自信は、1月6日の爆発的な公聴会の後、すでに揺らいでおり、さらに最近のトランプ関連の論争がそれを打ち砕いたと、その人物は言った。

米連邦捜査局(FBI)が機密文書を求めてトランプのマー・ア・ラゴの自宅を捜索した2日後、トランプ氏はニューヨーク州司法長官レティシア・ジェームズの民事宣誓証言で自己負罪に対する憲法上の権利(不利益な供述を強要されることはないとする権利)を発動した。さらに2日後、判事はマンハッタン地方検事が起こした告訴の棄却を求めるワイセルバーグとトランプ・オーガナイゼーションの要求を退け、10月24日の公判期日を設定した。

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