気候テック投資、過去12ヶ月で40%以上減少[ブルームバーグ]
気候変動関連技術は、厳しい投資環境の中でもはや明るい話題ではない。この12カ月間、世界の気候変動関連の新興企業に対するプライベート・マーケットからのエクイティおよび助成金の総額は650億ドルだった。これは、前年同期比で40%以上の減少となる。
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(ブルームバーグ) – 気候変動関連技術は、厳しい投資環境の中でもはや明るい話題ではない。
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の新レポートによると、2023年9月30日までの12カ月間、世界の気候変動関連の新興企業に対するプライベート・マーケットからのエクイティおよび助成金の総額は650億ドルだった。これは、前年同期比で40%以上の減少となる。
投資が全体的に落ち込んでいる理由は多岐にわたる。地政学的な混乱、インフレ、金利上昇、バリュエーションの低下など、ハイテク投資全体に影響を与えた問題ばかりだ。しかし、気候変動問題への投資は、これ以上ないほど重要だ。世界は記録的な猛暑の夏を経て、記録的な暑さに見舞われたばかりだ。
エネルギー管理、持続可能性、産業オートメーションに特化した10億ユーロ(1580億円)のベンチャーキャピタルである、SEベンチャーズのグローバル・ヘッド兼マネージング・パートナーのアミット・チャトゥルヴェディは、「市場の低迷は、気候変動技術の新興企業が、現実の問題を解決し、"買い手のペルソナ"を理解することに、より集中する必要があることを意味する」と語った。
しかし、セメントや鉄鋼など、排出量の多い産業部門への資金提供は、排出量全体への貢献が大きいにもかかわらず、気候変動技術への資金提供全体に占める割合は比較的小さい。炭素排出の主要な原因であるばかりでなく、排出量の削減が困難なこれらのセクターへの投資は、最近の気候変動技術投資全体のわずか14%に過ぎない。今年は、モビリティとエネルギーに取り組む新興企業が大半を獲得した。
気候変動関連技術の低迷に打ち勝ったのは、二酸化炭素回収・貯留技術(CCS)である。特に化石燃料産業は、石油、ガス、石炭の使用を延命させうる可能性のあるこの技術に資金を注いでいる。PwCの報告書によると、過去2年間で投資が絶対的に増加した唯一の技術分野である。
「CCSへの投資が確実に実を結ぶことを示唆するものではないが、需要の高まりと政府による支援は、新興企業への投資家に大きな自信を与えるかもしれない」
この調査結果は、BloombergNEFを含む他のグループによる分析とほぼ一致している。
気候変動関連技術への投資は減少傾向にあるが、同分野への期待もある。新興企業投資市場全体における気候変動関連技術のシェアは11%以上と高く、また、この分野に初めて投資する企業も後を絶たない。ここ数カ月で新しいファンドがいくつか誕生しており、この業界を下支えする可能性がある。米国で昨年成立したインフレ抑制法も、グリーン水素から家庭用電化まで、さまざまな産業に対する助成金や優遇措置のおかげで後押しとなっている。
Climate Tech Investing Slides More Than 40% Over Past 12 Months
By Michelle Ma
© 2023 Bloomberg L.P.
翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ