インド、大富豪アダニを尖兵にスリランカで「一帯一路」対抗策を展開
モディ政権とつながりのある財閥アダニ・グループが、経済的リターンの遅れや不確実性を受け入れてでも、スリランカのインフラプロジェクトに噛もうとする動機の1つは地政学的なものだ。アダニがインドの対一帯一路戦略の尖兵となっている。

(ブルームバーグ)-- スリランカ北部のプーネリン沿いの浅瀬の海岸で、少人数の漁師たちが漁をしている。インド南端から至近距離にある、貧しい遠隔地だ。アジア一の大富豪で、今年ジェフ・ベゾスを抜いたゴータム・アダニが、再生可能エネルギーの発電所建設を計画し、国際政治の衝突の渦中に巻き込まれた場所である。
スリランカが1948年にイギリスから独立して以来、最悪の経済危機に陥っている中、インドはスリランカで中国との戦略的争いに再び取り組み、バランスを取ろうとしている。この島は世界の主要航路に位置し、アジアのライバルから包囲されるというニューデリーの懸念に応える重要な戦場になっている。アダニはインドのナレンドラ・モディ首相の長年の支援者で、スリランカの一部の議員から、インドの利益と密接に結びついた不透明な港湾・エネルギー取引に署名していると非難されている。アダニ・グループはスリランカのニーズに合致した投資であるとして、これまで否定してきた。