インド、大富豪アダニを尖兵にスリランカで「一帯一路」対抗策を展開
2014年9月1日、東京の経団連本部で日本の経済団体主催の昼食会に出席した億万長者ゴータム・アダニ(中央)。

インド、大富豪アダニを尖兵にスリランカで「一帯一路」対抗策を展開

モディ政権とつながりのある財閥アダニ・グループが、経済的リターンの遅れや不確実性を受け入れてでも、スリランカのインフラプロジェクトに噛もうとする動機の1つは地政学的なものだ。アダニがインドの対一帯一路戦略の尖兵となっている。

ブルームバーグ

(ブルームバーグ)-- スリランカ北部のプーネリン沿いの浅瀬の海岸で、少人数の漁師たちが漁をしている。インド南端から至近距離にある、貧しい遠隔地だ。アジア一の大富豪で、今年ジェフ・ベゾスを抜いたゴータム・アダニが、再生可能エネルギーの発電所建設を計画し、国際政治の衝突の渦中に巻き込まれた場所である。

スリランカが1948年にイギリスから独立して以来、最悪の経済危機に陥っている中、インドはスリランカで中国との戦略的争いに再び取り組み、バランスを取ろうとしている。この島は世界の主要航路に位置し、アジアのライバルから包囲されるというニューデリーの懸念に応える重要な戦場になっている。アダニはインドのナレンドラ・モディ首相の長年の支援者で、スリランカの一部の議員から、インドの利益と密接に結びついた不透明な港湾・エネルギー取引に署名していると非難されている。アダニ・グループはスリランカのニーズに合致した投資であるとして、これまで否定してきた。

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