
ソフトバンクGの決算は孫正義の「真冬の嵐」の悪化を示すことになる
【ブルームバーグ】3カ月前、孫正義がソフトバンクGの投資家に最後に話したとき、彼のテクノロジーコングロマリットは「真冬の嵐」の真っ只中にあると言った。それ以来、ソフトバンクGの状況は悪化の一途をたどっている。
【ブルームバーグ】3カ月前、孫正義がソフトバンクGの投資家に最後に話したとき、彼のテクノロジーコングロマリットは「真冬の嵐」の真っ只中にあると言った。それ以来、ソフトバンクGの状況は悪化の一途をたどっている。
米連邦準備制度理事会(FRB)の引き締めが近づいていることから、同社のビジョンファンドが得意とするテクノロジー新興企業への投資に投資家が消極的になり、同社の最も注目を集めている投資案件のいくつかは、ここ数カ月で悲惨な状況に陥っている。さらに悪いことに、待ち望まれていたアームのエヌビディアへの売却が頓挫しそうであり、2週間も経たないうちに、オペレーションの第一人者であるマルセロ・クラウレが給与面での衝突を理由に辞任し、孫はまたしても信頼のおける部下を失った。
待ちに待った自社株買いの再開も、ソフトバンクGの株価を上げるには至らなかった。3カ月前に1兆円規模の自社株買いを発表した際、孫は株主の一人として「喜んでいる」と語っていた。
しかし、その後のソフトバンクGの業績に満足している人はいないだろう。株価は12%以上も下落し、この間のTOPIXの5%の下落よりもひどい。孫は、火曜日に行われるソフトバンクGの第3四半期決算後の説明会で、投資家に向けて何らかの良いニュースを発表するよう迫られるだろう。
ソフトバンクGのリターンは、その非公開の保有資産の大きさを考慮すると、推定が難しいことで知られているが、Redex Researchのアナリスト、カーク・ブードリーは、12月に終了した3ヶ月間に10社を公開したにもかかわらず、ポートフォリオから21億ドルの損失が出ると予想している。
そのダメージは、デジタル決済サービスPaytmを運営するOne97 Communicationsが悲惨なIPOを行ったインドから、第4四半期にドアダッシュが28%、ウィーワークが14%の価値を失った米国まで多岐にわたる。米国での上場廃止と香港への移転を準備しているDidi Globalは、当四半期に36%の損失を出した。最も重要なのは、ソフトバンクGが単独で最も価値のある投資を行っているアリババが、3ヶ月間で16%も下落したことだ。

ソフトバンクGの投資をめぐる「真冬の嵐」は、前四半期に悪化したばかりのようだ。
アリババのSEC提出書類は、ソフトバンクGが売却を計画していることを示唆している可能性がある、とシティバンクは指摘する。
3ヶ月前、アナリストは自社株買いの再開を心待ちにしていたが、直近の自社株買いでは株価は上がらず、直近の業績を見る限り、これ以上拡大する余地はないのではないかとアナリストは述べている。
「ソフトバンクGが資産を売却せずに自社株買いの資金を調達するのは難しい」とブードリーは書いている。「ソフトバンクGが自社株買いを積極的に進めることはなさそうなので、株価は引き続きレンジ内で推移するだろう」と述べている。
最近、1つの明るい兆候があった。シティグループ・インクのアナリストであるアリシア・ヤップは、週末にアリババがこれまで登録されていなかった10億株の米国預託株式を登録したことから、ソフトバンクGが自社株の一部を売却する意図があるのではないかと分析している。ソフトバンクGの株価は東京で5.4%も上昇したが、アリババの香港株は4.7%も下落した。
孫はこれまで、自分が好む指標である純資産価値(NAV)と比較して割安と思われる場合には、自社の株式を積極的に取得してきた。しかし、ジェフリーズのアナリストであるアトゥル・ゴヤルとシンゴ・イトウは、先月のメモで、この純資産価値さえもさらに低下しているだろうと予想している。彼らは、1月末時点でのNAVが約1,850億ドルから約1,300億ドルに減少していると予想している。
しかし、これは株価がNAVよりもかなり割安であることを意味しており、1株あたりのNAVは、前四半期末時点で10,700円程度になると予想している(東京市場での月曜日の朝の価格は5,388円)。
ソフトバンクGは火曜日の東京時間午後3時に決算発表を行い、午後4時30分に孫社長が説明を行う。
SoftBank Earnings Set to Show Worsening of Masayoshi Son’s Blizzard
By Gearoid Reidy and Takahiko Hyuga
Feb 7, 2022, 2:49 PM - Updated on Feb 7, 2022, 2:49 PM
取材協力:Peter Elstrom