欧州の化石燃料使用量は2023年に激減する―英シンクタンク
欧州連合(EU)はロシアからのエネルギー供給に代わる再生可能エネルギーに注力するため、化石燃料を燃やして生産する電力の量は今年、急減するとみられる。

(ブルームバーグ) — 欧州連合(EU)はロシアからのエネルギー供給に代わる再生可能エネルギーに注力するため、化石燃料を燃やして生産する電力の量は今年、急減するとみられる。
英国のエネルギー・シンクタンク、エンバーによると、化石燃料による発電量は今年20%減少する可能性があり、比較的高価な天然ガス火力発電が最も早く減少するという。
ロシアがウクライナ侵攻の際にガスの供給を停止し、エネルギーコストが高騰したため、ヨーロッパでは代替エネルギー源の確保に躍起になっている。その結果、化石燃料への依存度が高まり、原子力や水力発電の減少もあって、排出量の増加につながった。しかし、太陽光発電と風力発電がそのギャップを埋め、昨年はEUの電力の22%を供給し、初めてガスを追い越したのである。

「現在、石炭を廃止すると同時に、ガスの需要を急速に削減することに焦点が当てられている」と報告書は記述されている。「これは、クリーンエネルギーの大規模なスケールアップが近づいていることを意味します」。
エンバーは、ドイツの原子炉の段階的廃止がフランスの原子炉の復帰を相殺し、2023年の原子力発電は比較的横ばいになると予想している。水力発電は、2022年に歴史的な干ばつで重要な資源が枯渇した後、今年は約40テラワット時増加するはずだ。電力コストの高騰により、2022年第4四半期のエネルギー需要は前年同期比で約8%減少した。この軌道が続けば、2023年には化石燃料の使用量の大幅な減少に寄与する可能性がある。

Will Mathis. Europe’s Fossil Fuel Use Is Set to Plummet in 2023, Report Says.
© 2023 Bloomberg L.P.
翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ