「2030〜40年に燃料車の販売をなくすのは困難」が業界の多数派―サプライヤー調査

欧米諸国は販売される自動車からガソリン車を排除する目標を掲げている。しかし、ABB Robotics and Automotive Manufacturing Solutionsが自動車業界を対象に実施した調査では、これらの目標が達成可能かどうかについて悲観的な意見も見られた。ABBは自動車産業の大手サプライヤーであり、調査内容の評価にあたっては同社が電気自動車(EV)普及によって受ける影響を考慮しておく必要がある。

2030年から2040年にかけてのさまざまな地域の目標を達成するために、EVの生産を100%移行することは現実的か」という質問に対して、「はい、間違いなく」と答えたのはわずか11%で、目標が現実的と考える欧州の回答者は10%未満で、北米では12%、アジアでは17%となっている。

また、「そうだが、簡単ではない」と答えた回答者も28%いた。その結果、半数以上の回答者が、完全なEVへの移行には2030年から2040年では早すぎると考えていることがわかった。41パーセントが「可能性はあるが、目標時期までには無理」と答え、「内燃機関の終焉を見ることはできない」と答えたのはわずか18パーセントだった。

ティア2の自動車部品メーカーに勤務する人々は最も楽観的で、50%以上が2040年までには無理でも完全なEV生産への切り替えが可能だと考えている。一方、OEM、設計・エンジニアリングサービス、ティア1サプライヤー、ティア3サプライヤー、ソフトウェア・ITサービス、ロジスティクスらは3分の1しか可能でないと回答している。

EV生産100%への移行を妨げる最大の要因は、サプライチェーンとコストだった。新しい電池のサプライチェーンに対応することが19%で1位となった。2番目に多く挙げられたのが、多額の設備投資を必要とするEV生産施設の新設(16%)であった。

そのほか、「原材料の供給(または不足)」「インフラの不足」、「電気系統の容量不足」「グリーンエネルギーの不足」「EV用充電インフラの不足」などが挙げられた。悲観的な理由としては、望ましさへの疑念、需要不足、新車購入の高コストなどが挙げられている。

また、「EVの普及を妨げる最大の要因は何か」という質問では、充電インフラの不足が26%でトップとなった。17%の回答者は、新車のEVの価格が高いことを挙げている。興味深いことに、北米と欧州・アジアでは、EVに対する消費者の抵抗感がコストよりも大きな要因になると予測された。