
自動車メーカーはソフトウェアシフトをやり遂げられるか?

一日の仕事を終えて、家に帰るのはまだ早い。映画でも観に行こうか。映画館に行くのもいいだろう。そんなとき、あなたはクルマの中に閉じこもる。タッチスクリーンのダッシュボードを数回タップすると、車内はマルチメディアの繭に変わる。光は滝のように車内を流れ落ち、スピーカーからはサラウンドサウンドが流れる。拡張現実(AR)メガネをかければ、目の前にスクリーンが出現する。
この没入型体験は、中国の電気自動車(EV)企業であるNioが、先月ベルリンで開催した発表会で自動車の未来像として打ち出した核心部分である。同社は、ハイエンドのEVを「第2のリビングルーム」にしたいと考えている。馬力、加速度、デザインはともかく、同社が強調するのは、車に搭載された20数個の高解像度カメラとトランジスタ(その数は680億個で、最新のiPhoneの約4倍)である。「私たちのクルマにはスーパーコンピューターが搭載されています」と、Nioのボス、ウィリアム・リーは誇らしげに語る。