![ベゾスのロケット企業ブルーオリジンのメタンガス排出を宇宙ステーションが発見[ブルームバーグ]](/content/images/size/w2640/2023/08/401223149.jpg)
ベゾスのロケット企業ブルーオリジンのメタンガス排出を宇宙ステーションが発見[ブルームバーグ]
強力な温室効果ガスであるメタンは、これまでに経験した地球温暖化の4分の1以上を引き起こしていると考えられている。ジョー・バイデン大統領は最近、ホワイトハウスで「メタン・サミット」を開催した。
(ブルームバーグ) -- 強力な温室効果ガスであるメタンは、これまでに経験した地球温暖化の4分の1以上を引き起こしていると考えられている。ジョー・バイデン大統領は最近、ホワイトハウスで「メタン・サミット」を開催した。
問題のほとんどは、天然ガス井やパイプライン、牧畜場、炭鉱、水田、埋立地など、いくつかの場所から発生している。しかし時折、大量のメタンガスが放出されている場所を探す科学者たちが、意外な場所で発見することもある。6月4日、億万長者のジェフ・ベゾスが宇宙ロケットのテストを行っているテキサス州西部の広大な牧場で、メタンガスの噴出が検出されたのだ。
ベゾスの宇宙開発会社ブルーオリジンは、ほぼ純粋なメタンである液化天然ガスを燃料とするロケットを開発しているため、日常的にこのガスを排出していることが判明した。6月の放出は、国際宇宙ステーションに搭載された測定器によって検出された。非営利団体Carbon Mapperは測定値を分析し、1時間あたり約1.5トンのガスが放出されていると推定した。この現象がどのくらい続いたかは不明である。
「私たちは頻繁にサプライヤーからLNGをエンジンテスト・スタンドの貯蔵タンクに移送しています」とブルーオリジンの広報担当者、サラ・ブラスクは電子メールで回答した。「すべて正常に作動しました。問題はなく、報告基準を超えることもありませんでした」。どのくらいのガスが放出されたかについてはコメントを避けた。テキサス州の大気規制機関であるテキサス州環境品質委員会(TCEQ)は、メタンガスの排出量に制限を課したり、排出量の開示を義務付けてはいない。
2020年1月にTCEQに提出された大気許可申請書によると、同社は年間340万立方フィート(約60トン)以上のLNGを日常的に使用する見込みだ。この数字が現在の操業を反映したものであるかどうかは、州の文書からは不明であり、ブラスクは明言を避けた。彼女はまた、気候への影響を大幅に減らすことができるはずのガス燃焼に、試験場のフレアが使われなかった理由についてもコメントしなかった。
もちろん、ブルーオリジンが排出するガスは、天然ガス業界のサプライヤーから排出されるガスとは比較にならない。ロケット発射場の近くにある巨大な油田、パーミアン・ベースンの井戸とパイプラインは、年間270万トンのメタンを排出していると考えられている。メタンで動くロケットエンジンを開発しているのはブルーオリジンだけではない。
メタンガスは、宇宙産業が気候に与える影響全体のほんの一部に過ぎず、その影響はよく理解されていない。地球上空に放出される排気粒子は、太陽光が地上に到達するのを妨げる「傘」効果をもたらす可能性があると、非営利団体エアロスペース・コーポレーションの大気科学者マーティン・ロスは言う。このような宇宙飛行の不確実性や他の側面から、科学者たちは、宇宙産業が大気圏下部の正味の加熱や冷却を引き起こすかどうかはわからない、と彼は言った。
この疑問は、今後数年のうちにもっと注目されるようになるかもしれない。マッキンゼーと世界経済フォーラムの試算によると、宇宙産業は4,470億ドルの価値があり、2030年までに1兆ドルに達する可能性がある。「現在の排出量は、人類が気候に与える影響の総計に大きく寄与するほどではありません」とロスは言ったが、「我々は、多くの成長があると考えています」ともいう。
皮肉なことに、商業宇宙セクターの成長ドライバーのひとつは、メタンを含む汚染物質の環境モニタリングのための衛星打ち上げである。
ベゾスは、地球の資源は有限であるため、人類は宇宙を植民地化しなければならないと主張してきた。2019年のブルー・オリジンでのスピーチで彼は、汚れた産業活動が地球外で行われ、私たちの故郷は『住宅と軽工業にゾーニングされる』という未来を思い描いた。「地球を救うために宇宙へ行く」と2018年に彼がツイートした。
恒久的なスペースコロニーの時代はまだ遠い。その一方で、ブルー・オリジンのフライトの多くは、2021年にベゾス自身を含む裕福な観光客を宇宙への短い旅に送り出している。
--取材協力:ローレン・グラッシュ、アーロン・クラーク
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By Aaron Clark
© 2023 Bloomberg L.P.
翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ