南極大陸の海氷面積が記録的な低水準に達し、科学者たちが憂慮［ブルームバーグ］

(ブルームバーグ) – コロラド大学ボルダー校の国立雪氷データセンター（NSIDC）が月曜日に発表した速報値によると、南極大陸の海氷面積は今年最大となった時点で1,700万平方キロメートル（660万平方マイル）を下回り、1986年に記録した過去最小を100万平方キロメートル（約40万平方マイル）下回った。この数値は、衛星観測による約45年間の記録で、ピーク時の面積が最小であったことを表している。

南極の冬（北半球の夏）の海氷面積のピークは、おそらく9月10日であろう。NSIDCによると、この日の海氷面積は1,696万平方キロメートルで、その後減少に転じた。これは、1981年から2010年までの中央値である9月23日より2週間近く早い。

「海洋は世界的に温暖化しており、南氷洋の極層で暖かい水の混合が続く可能性があるため、これは南極海氷の長期的な減少傾向の始まりではないかと懸念されている」とNSIDCはニュースリリースで述べている。

南極の海氷減少の要因は複雑で、北極の海氷減少よりもよく分かっていないが、科学者たちは気候変動が一役買っていると考えており、海氷の減少が続けば、太陽光が宇宙空間に反射される量が減るため、温暖化の影響を悪化させる可能性がある。南極大陸を研究する科学者たちは、数カ月前、氷が2月の最盛期からなかなか成長せず、通常のパターンから大きく外れていることを観察した。

ワシントン大学の海氷を専門とする気候科学者セシリア・ビッツは、「ここ3、4か月は、これまでに見たことも、予想していたような状況でもありません」と語った。 「このことから、私たちが経験している気候変動は私たちの経験の範囲外であり、自然変動では説明できないことがわかります」

例年より劇的に低い海氷面積が続けば、海岸線のより多くの部分が海洋波にさらされることになるが、その影響はまだ明らかではないとNSIDCは指摘している。科学者たちは、南極における海氷と海洋の相互作用について様々な考えを持っているが、そのほとんどは理論的なものであり、より多くの研究が必要であるとビッツは語った。

北極の夏

南極では、海氷は通常9月のある時点で最大の海域を覆う。その後、海氷は南半球の夏にかけてゆっくりと融け始め、最も海が開けるのは通常3月初旬である。このプロセスは北極でも同じだが、冬と夏の月が逆になっている。

研究センターはまた、地球の反対側における夏の海氷面積の最新予測を発表した。それによると、今夏の北極海の海氷面積は最も少ない時で423万平方キロメートルであった。これは6番目に低い数値であり、過去17年間で最も低い数値となったのはすべてこの17年間であった。

科学者たちは、数十年にわたるトレンドが明らかに減少しているにもかかわらず、ある年の海氷が多かったり少なかったりする理由を理解することに興味がある、とポーラーベアーズ・インターナショナルのチーフ・クライメート・サイエンティストでもあるコーネル大学のフラビオ・レーナー助教授（地球大気科学）は言う。

「特定の気象パターンによりより多くの暖かい空気がもたらされたため、気温が暖かくなったからでしょうか？」 と彼は尋ねた。 「海洋がより多くの暖かい水を北極に運んだのでしょうか？ 大きな嵐のせいで海氷が砕け、北極から流されて溶けやすくなったのだろうか？ 海氷が最小となった年ごとに、氷の脆弱性をより深く理解するのに役立つさまざまな物語があります」

このような変化は、先住民のコミュニティから陸上・海洋動物、そしてごく小さな動植物に至るまで、この地域に住む人々に大きな影響を与える可能性がある。たとえばホッキョクグマの場合、ある地域で凍結が早まれば狩猟シーズンが早まるかもしれないし、逆に氷期が長くなれば他の地域からクマが移動してくるかもしれない。このような変化と動物たちの反応を理解することが、自然保護を成功させる鍵だとレーナーは言う。

「国立公園や海洋保護区を指定しても、気候変動によって、保護しようとしている種が住めなくなるのであれば、それは問題です。データからできる限り多くのことを引き出し、備えることが重要なのです」。

Antarctica’s Shrinking Sea Ice Hits a Record Low, Alarming Scientists

By Danielle Bochove

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翻訳：吉田拓史