日本が世界で最も低いコロナ死亡率を達成した理由
3月23日、東京・新橋のバーやレストランを通り過ぎるマスクをつけた歩行者たち。Toru Hanai/Bloomberg

日本が世界で最も低いコロナ死亡率を達成した理由

日本はマスク、予防接種、健康管理でコロナ死亡を防いだ。ロックダウンが義務化されていない日本では、国民のコンプライアンスが頼みの綱だった。

ブルームバーグ

(ブルームバーグ) -- 日本のコロナウイルス感染症による死亡率は世界の裕福な国の中で最も低く、保健専門家はマスク着用の継続、広範囲にわたる予防接種、すでに健康な国民が成功の中核的要因であると指摘している。

世界の他の地域がパンデミック疲れに悩む中、国民は人混みや換気の悪い場所を避けるなど、基本的な感染対策を守り続けてきた。そして、日本の対策は、強力なワクチン接種プログラムと無料医療によって強化された。

しかし、日本が多くの地域、特に中国などアジアの近隣諸国と真に異なるのは、強制されることなく、わずかな制限で死者を制限することに成功している点である。憲法では、警察による封鎖を禁じており、緊急事態であっても、政府は企業や個人の行動を改めるよう求めている。

日本のコロナ対策の実績|日本はOECD加盟国の中で一人当たりのコロナウイルス感染症死亡数が最も少ない。

そのソフトなアプローチは目覚ましい成果を上げている。Our World in Dataによると、日本の一人当たりのコロナによる死亡者数は100万人当たり246人で、OECD加盟国38カ国中最も低い数値となっている。コロナに最も感染しやすい高齢者の割合が世界で最も高い日本にとって、この数値はさらに重要な意味を持つ。以前は最も少なかったニュージーランドは、国が開放され、規制が解除された後、初めて実質的なウイルスの波に直面し、100万人あたり257人の割合となっている。

しかし、国によって報告基準が異なるため、正確な数値を把握することは難しい。世界保健機関(WHO)は、日本の超過死亡数は2020年と2021年にかけて減少したと発表しているが、3月に科学誌Lancetに掲載された研究では、日本の超過死亡数は2020-2021年に報告されたコロナによる死亡の6倍であったと発表している。昨年はその反動があったものの、2020年の死亡者数は2019年より約9,000人少なかったと、政府の数字は示している。

コロナによる死亡を特定する基準は国ごとに異なり、検査方針も異なるため比較は難しいが、日本の死亡率の低さはその戦略が有効であることを示していると、国立国際医療研究センターの国際感染症センター長で、東京都顧問の大曲隆夫は述べた。

日本の対策は、他の国々が現在あるいは将来のパンデミックに対処するための教訓を含んでいるかもしれない。以下は、日本の対策が正しかったとする専門家の意見である。

社会的なコンプライアンス

日本のウイルス対策は、特に感染者が増加したときに、国民が進んでソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の指導に従うことに依存した。これは、他の国のトップダウンの対策よりも効果的で、場合によっては人々を抵抗させ、反抗的にさせた。

大曲は、「人々は自らの判断でリスクを回避し、行動を修正しており、これが非常に重要な役割を果たしている」と語った。

マスクの着用は、パンデミックの初期に受け入れられ、政府が屋外でのマスク着用の推奨を緩和した現在でも、ほぼ全国的に行われている。Institute for Health Metrics and Evaluationのデータによると、日本でのマスク着用率は通常90%を超えており、他のG7諸国では時折その水準に近づいている程度である。

マスク着用|日本はマスク着用率でG7諸国を上回る

政府の「三密」というスローガンは、密閉・密集・密接を避けることを宣伝するもので、国民にどのように行動してほしいかを強化するものであった。さらに、建物からタクシーまで、室内の空気が交換されていることを示す二酸化炭素のモニターを使用するなど、換気を改善する取り組みが行われている。

また、規制が比較的軽かったため、イタリアから中国、ニュージーランドまで様々な国で展開された厳しいロックダウンのように、日常生活に大きな支障をきたすことはなかった。そのため、人々はより長く制限に従うことができ、海外で見られたような社会的混乱を回避することができたのだろう。

東京の夜の歓楽街での活動は、ある推計によると、2019年に比べてまだ40%近く減少している。

ワクチン接種

パンデミック以前、日本人のワクチン接種率は世界で最も低い水準にあった。しかし、現在ではG7の中で最も予防接種率が高く、数カ月前に接種プログラムを開始した米国などの国々に素早く追いつき、しかも義務化されることなく実施している。

専門家は、特に高齢者の間で、予防接種の遅い展開と早期の不足が危機感を生んだと指摘し、また予防接種という行為が米国のように政治化されていなかったと述べている。

高いワクチン接種率|日本の国民は高度なワクチン接種を受けており、死亡を抑制している

首相官邸のデータによると、65歳以上の日本人の約93%が2回の予防接種を受けており、90%が追加接種を受けている。これは、全人口の81%が2回の予防接種を受け、61%が3回目の予防接種を受けていることと比較しての結果だ。

米国では、65歳から74歳の94%が完全な予防接種を受けており、75歳以上の88%が2回の接種を受けている。

東京政策研究財団の疫学者である渋谷健司は、「日本人がワクチン接種や自然感染で身を守ってきたおかげで、日本の入院や死亡がすぐに劇的に増えることはないだろう」と述べている。

健康な人口

死亡率の低さを支えているのは、日本人の健康状態である。日本は世界一の長寿国であり、2020年に寿命が縮まないOECD加盟国6カ国のうちの1つであった。世界肥満連合(WOF)によると、コロナによる重症化のリスクを高める条件の一つである肥満の人は、米国で36%、英国で28%であるのに対し、日本人はわずか5%である。

また、マスク着用や手洗いなどの行動が広く採用されたことで、通常、年間1万人以上の日本人が死亡していたインフルエンザなどの病気も一掃された。

日本人の死因はほとんど60歳以上の高齢者であり、中年層と若年層の健康状態が良好であることを示している。これは、米国では死因の分布が広く、政府の統計によると死因の約4分の1が65歳未満であることと対照的である。

無料介護

世界の多くの国々と同様、日本の医療制度も感染症が急増すると負担がかかる。しかし、パンデミックの間、日本の医療システムは強固なコンタクト・トレーシングを維持することができ、必要なところに必要な資源を無料で送ることができるようになった。

各地の保健所では、感染者を追跡し、陽性患者には病院やホテルの部屋を無料で提供している。自宅に隔離されている患者には、保健所のスタッフが常に連絡を取り、必要に応じて看護師や医師を派遣している。

大曲は、「早期治療が命を救うことは分かっている。もっとできることがあると思うが、日本のシステムは誰も置き去りにせず、患者を徹底的に観察し、早期に介入している」と語った。

Kanoko Matsuyama, James Mayger. Night Life in Tokyo After Japan Ended Virus Quasi-Emergency Nationwide.