
サムスンはインテルのような自己満足に注意する必要がある

当時(1983年)、日本や米国のメーカーが独占していたシリコンチップ事業にサムスンが参入したことには、いい話がある。韓国の財閥の創始者である李秉喆(イ・ビョンチョル)は、「東京宣言」という大それた言葉で、新しい戦略を発表した。石油などの原材料はないが、教育熱心で勤勉な労働力があり、チップ製造に手を染めるには十分な環境である、と。
その直後、サムスンの幹部たちは、ソウルから山越えの一泊二日の行軍を命じられたと、ジェフリー・カインが著書『Samsung Rising』で語っているように、この挑戦のために逞しくなった。そして、6カ月という短期間で建設されたサムスン初の半導体工場に到着した彼らは、朝食前に事業の成功に向けた誓約書にサインした。そして、寝ずに16時間労働をした。
サムスンの武闘派的な仕事術とでもいおうか、真の根性とでもいおうか。いずれにせよ、サムスンは競合他社を蹴散らし、メモリーチップの世界市場を席巻してきた。コンピューターやサーバーの記憶装置に使われる「DRAM」では30年以上、携帯電話に使われる「NANDフラッシュメモリ」では20年以上、世界のトップ企業として君臨してきた。
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