![米インフレ削減法から1年、総予算は謎のままだ[ブルームバーグ]](/content/images/size/w2640/2023/08/401111604.jpg)
米インフレ削減法から1年、総予算は謎のままだ[ブルームバーグ]
疑問点はIRAの結果、どれだけの予算が使われるのかということだ。コストの見積もりは上方修正され続け、現在では5兆ドル以上の幅がある。
(ブルームバーグ) -- ジョー・バイデン大統領がインフレ抑制法(IRA)に署名してからちょうど1年が経過した。アメリカ経済の急速な変化を証明する数字には事欠かない。860億ドルの民間投資、51のソーラーパネル製造工場の新設・拡張、91のバッテリー製造工場の新設、10万人以上のクリーンエネルギー関連の雇用、だ。
疑問点はIRAの結果、どれだけの予算が使われるのかということだ。コストの見積もりは上方修正され続け、現在では5兆ドル以上の幅がある。
これは、昨年夏、この法律が議会を通過したときの驚きの見出しとは大違いである。ブルームバーグ・グリーンを含む報道各社は、多少の変動はあるにせよ、気候変動対策に約3,700億ドルの値札を付けていた。この数字は結局、ホワイトハウスの評価でも繰り返され、多かれ少なかれ公式のものとなった。
しかし、それは常に見積もりだった。今にして思えば、米財務省が負担する税額控除や奨励措置のコストは、もっと高くなることは明らかである。
予測の難しさの核心は、IRAの財政的仕組みの2つの構造的要素にある。支出の大半は上限のない税額控除という形で行われ、その無制限の控除は10年スパンで展開されるように設計されている。電気自動車の購入から、環境に優しい水素や米国製バッテリーの生産まで、あらゆるものを支援するために利用できる新しい税制優遇措置を、どれだけの企業や市民が請求できるかという制限がないため、これは当てずっぽうの大きな要素となった。

公式の値札に最も近いものは、法案を採点することを仕事とする議会予算局のものだ。バイデンがIRAに署名した1ヵ月後の2022年9月までに、法案のクリーンエネルギーと気候変動部門のコストは、2022年から2031年の間に約3,910億ドルと見積もられていた。しかし、当時でさえ専門家たちはこの数字を低めに見ていた。