
日本は賃金を上げるために減税から羞恥心まであらゆることを試す
企業に賃上げを繰り返し呼びかけ、その成果は限定的だったが、日本政府は、雇用主を陥れるためにさらなるインセンティブで追撃している。
(ブルームバーグ) -- 企業に賃上げを繰り返し呼びかけ、その成果は限定的だったが、日本政府は、雇用主を陥れるためにさらなるインセンティブで追撃している。
岸田文雄首相は2021年の就任以来、企業の利益をより公平に分配し、より多くの人々が経済的に安心し、自由に消費できるようにしたいと述べている。日銀も、需要主導の安定したインフレという目標を達成するためには賃上げが重要だと述べている。
任天堂やユニクロを経営するファーストリテイリングなどの企業が大幅な賃上げを発表しているが、こうした動きは日銀が必要とする自律的な賃金・物価サイクルを引き起こすほどには広まってはいない。OECDによれば、日本の平均年間賃金は4万ドル未満で、イタリアより低く、アメリカの半分強に過ぎない。
この40年間で最も高いインフレを引き起こした食品と燃料の価格上昇は、この探求に緊急性を与えている。今月の読売新聞の調査では、回答者の9割以上が物価の上昇は家計の負担になっていると答え、そのうち6割は「深刻」だと表現している。
岸田氏は電気料金の補助を延長し、電力会社に料金値上げを延期するよう求め、家計に苦しむ人々を支援する予定だ。しかし、多くの労働者にとっての問題は、4月に新年度が始まったときに、実質的な暮らしが良くなっているかどうかである。
以下は、日本が民間企業で大幅な賃上げを引き出すために行っている方法の一部である。
- 経済産業省は、コスト上昇に伴う価格交渉の意欲について、中小の下請け企業が大企業を評価することを認める名指しキャンペーンを開始した。大企業に圧迫されていると不満を持つ下請け企業が提供する商品やサービスの価格をより公正にすることで、自社の従業員の賃金を引き上げることができるというのがその理由である。
- 賃上げを促す法人税減税の効果が薄いと判断されたため、政府は昨年4月に優遇措置を拡大した。2024年3月31日まで有効で、大企業が給与総額を4%以上引き上げ、さらに教育訓練費を追加した場合、その30%を税額控除できるようにした。中小企業は、給与総額を2.5%以上増やし、教育訓練費を増やせば、従来の25%から40%の税額控除が受けられる。日本人の多くは中小企業に勤めており、賃金は数十年にわたり低迷している。
- 日本の企業のほぼ3分の2は、赤字企業として法人税を払っていないため、上記の控除を受けることができない。しかし、赤字でも給料を上げる中小企業には、特別の補助金が出るようになった。
- 政府は、「リスキリング」と呼ばれる、従業員に新しいスキルを身につけさせ、より高収入の仕事に転職できるようにするために1兆円(73億ドル)の予算を確保した。会社員にとって、日本では長い間、一つの雇用主に一生勤め上げることが伝統となっており、その結果、スキルが時代遅れになる可能性がある。
- 岸田氏は、経団連のような大企業のロビイング・グループを通じて、企業への圧力をかけ続けている。岸田氏は今週、国会で、より多くの企業に賃上げを促すため、企業や労働団体との三者面談を復活させる予定であると述べた。日銀もまた、大企業に賃上げを促すよう求めてきた。労働組合の連合は、1月のインフレ率4.2%より高い5%の賃上げを目標としている。エコノミストは、1月に発表された日本経済研究センターESPフォーキャスト調査で、大企業の平均賃上げ率を2.85%と予測している。
- 4月に日銀総裁に指名された学者、植田和男氏は、中央銀行は当分の間、緩和政策を維持すべきであると述べている。彼は最近、日銀が特に賃上げを目標とすることは適切でないと議員に語ったが、彼は「企業が賃上げできる環境」を提供すべきであると述べている。
Japan Tries Everything From Tax Breaks to Shaming to Raise Pay.
By Isabel Reynolds.
© 2023 Bloomberg L.P.
翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ