
タイ選挙で大勝利した改革派政党を支えたハーバード大卒業生
ハーバード大の卒業生が率いる改革派政党が、タイの選挙の最初の結果で大きな地歩を固めた。ここでは、前進党とその党首について知っておくべきことをすべて紹介する。
(ブルームバーグ) -- ハーバード大の卒業生が率いる改革派政党が、タイの選挙の最初の結果で大きな地歩を固めた。ここでは、前進党とその党首について知っておくべきことをすべて紹介する。
ピタ・リムジャロエンラットとは?
ピタ・リムジャロエンラットは、500人規模の下院で約140議席を獲得する勢いだった前進党のカリスマ的リーダーである。ハーバード大学出身の元議員である彼は、プラユット・チャンオチャ首相の下で「失われた10年」と呼ばれた後の変革の代理人として自らを位置づけている。
政界入りする前は、ティム・ピタとして知られるピタは、家族が経営する借金まみれの米ぬか油会社の再建に貢献した。また、配車会社Grab Holdings Ltd.のタイ部門のエグゼクティブディレクターを務めた。
女優でモデルのチュティマ・ティーパナートと結婚。二人の間には娘が一人いる。
前進党は何を目指しているのか?
前進党は、その改革的なアジェンダで初投票者や若いタイ人の強い支持を集め、王室の侮辱を犯罪とする法律の改正を促した唯一の主流政党となった。世界で最も厳しい法律のひとつである不敬罪は、国王や王室のメンバーを中傷、侮辱、脅迫した場合、最高で15年の禁固刑を義務づけている。
前進党は、政治における軍の影響力を弱めることも視野に入れている。ピタは、徴兵制の廃止と国防予算の削減を提案している。同党はまた、結婚の平等に関する法案を可決し、ビジネスの独占をやめ、バンコク以外のビジネス活動を活性化させることを支持している。
バンコクで最も人口の多い県を制覇したことは、同党の魅力が、初期の支持基盤であった若者以外にも広がっていることを示すものである。
前進党は、2020年に解散する前に、純政権批判を行うタナトーン・ジュアンルングルアンキットが率いた政党の残骸から組み立てられたものだ。
安全保障国際問題研究所の上級研究員で政治アナリストのティティナン・ポンスディラックは、「前進党はタイの新しいゲームだ」と言う。「タイの新しい戦場であり、若い世代の戦いの叫びは、軍と王政の改革と調整です」
ピタのメディア投資をめぐる論争とは?
ピタは、廃業したタイの放送局ITVに出資していると報じられ、国会議員がメディア株を保有している場合、立候補が禁止されていることから、批判を浴びた。軍事同盟の最大政党であるライバルのパラン・プラチャート党の候補者は、2019年にピタが下院議員時代に42,000株のITVを所有していたとして、選挙管理委員会に調査を申し入れている。ピタは5月9日、単に株式を相続しただけで、反腐敗機関に届け出たと弁明をツイートしている。
野党にとっては、よくあるジレンマだ。2020年には、前進党のトランスジェンダー議員、タンワリン・スクカピシットが、メディア株を所有していたとして憲法裁判所から有罪判決を受け、国会議員を失格になった。前進党のフィギュアヘッドであるタナトーンも同様のケースで失脚した。
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翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ