村田製社長、スマホ需要は来年も低調-中国製品の落ち込み響く
村田製作所の中島規巨社長は、需要が減少しているスマートフォン市場について、少なくとも今期(2023年3月期)中に勢いが戻ることはなく、来期も大きな回復は期待できないとの見方を示した。

(ブルームバーグ):村田製作所の中島規巨社長は、需要が減少しているスマートフォン市場について、少なくとも今期(2023年3月期)中に勢いが戻ることはなく、来期も大きな回復は期待できないとの見方を示した。中国メーカーのスマホ販売の落ち込みが影響しているという。
中島氏は18日のインタビューで、今期のスマホ市場規模について「12億台を切るのではないかというところも見えてきている」との見通しを示した。4月下旬時点では13億7,000万台と見込んでいた。
需要減の要因について中国の景況感悪化を挙げ、中国スマホが製品の新規性を打ち出すのが難しくなっているほか、インドなど海外販売もあまり伸びていないと分析。「われわれから見て、中国の顧客は相当元気がない状況」で、来期のスマホ需要についても、顧客の話を総合すると「あまり良くない」とみている。
ブルームバーグのサプライチェーンデータによると、村田製は韓国サムスン電子や米アップル、中国レノボ・グループなどに製品を供給する。4-6月期の同社の通信分野向け売上高は前年同期比8.9%減の1,692億円と、全体の4割程度を占めた。中国メーカーを中心とするスマホ需要の減速などにより、村田製の株価は年初から2割以上下落している。
一方、高価格帯スマホの需要は落ち込んでいないという好材料もある。中島氏は第5世代通信技術(5G)の導入とともに高速通信が可能な「ミリ波」が普及すれば、今後スマホの「使い方は必ず変わってくる」と強調し、5Gの進化がスマホ需要を再度喚起する鍵になるとの見方を示した。
村田製の国内生産比率は約65%、海外売上高比率は9割超という輸出型企業であるため、円安は業績にプラスに働く。中島氏は「決算上はいいように見えるが、肌感覚はものすごい悪い」と述べ、中国経済の停滞やウクライナ情勢、サプライチェーン問題など今後深刻化し得るリスクに対しての備えを強化する考えを強調。
特にサプライチェーンの問題については「今すぐ中国からの部材や資材を買わないというような宣言はできる状態ではない」とした上で、中国以外からの調達を増やす検討を進めていると述べた。
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