米国の次の不況はどのようなものか
2022年5月4日(水)、米ワシントンDCで開催された連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で発言するジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長。Photographer: Al Drago/Bloomberg

米国の次の不況はどのようなものか

たとえ穏やかな景気後退であっても、景気が完全に回復するためには、その後に好転することが必要だ。財政政策も金融政策も手詰まりで、景気回復には時間がかかりそうだ。

エコノミスト(英国)
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このところ、角を曲がれば米国の景気後退の予測にぶつかるようになっている。大手銀行、著名なエコノミスト、元政府高官らはみな、連邦準備制度理事会がインフレの抑制に努めているため、景気後退はほぼ確実であると述べている。フォーチュン500社の最高経営責任者の4分の3は、2023年末までに成長率がマイナスになることを覚悟している。債券利回りも消費者調査も赤に点滅している。グーグルの「リセッション」検索は急上昇している。

指標は確かに不吉だ。元財務長官のラリー・サマーズが指摘するように、インフレ率が4%を超え、失業率が4%を下回るたびに、米国は2年以内に景気後退に見舞われてきた。この2つの閾値を超えると、米国は2年以内に不況に見舞われる。現在、この2つの閾値をはるかに超えている。

昨年の大半は、FRBも投資家も、パンデミックの沈静化とともにインフレは弱まると考えていた。今は誰もそんなことは思っていない。供給不安やエネルギー価格の高騰はともかく、需要も過剰であり、これを正常な水準に戻すには金融引き締めが必要であるというのが大方の見方である。問題は、どの程度引き締めるか、つまりどの程度景気が悪化するかであり、FRBが金利を引き上げなければならないほど、景気後退はより大きな打撃を受けることになる。FRBが金利を上げなければならないほど、景気後退の痛手は大きくなる。年初からの株価下落が示すように、投資家は痛みを織り込んでいる。

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