ウォール街、台湾をめぐる中国の強硬シナリオに備える
8月16日、台湾最南端の恒春空港で行われた実弾演習での米国のAH-64アパッチヘリコプターと2台の無人航空機(UAV)。

ウォール街、台湾をめぐる中国の強硬シナリオに備える

ロシアでの数十億ドル規模の損失を引きずる世界の金融機関は、台湾をめぐる緊張の高まりを受け、大中華圏で事業を展開するリスクを再評価している。

(ブルームバーグ)-- ロシアでの数十億ドル規模の損失を引きずる世界の金融機関は、台湾をめぐる緊張の高まりを受け、大中華圏で事業を展開するリスクを再評価している。

ソシエテ・ジェネラルSA、JPモルガン・チェース、UBSグループAGなどの金融機関は、エクスポージャーの管理のため、ここ数カ月で危機管理計画を見直すようスタッフに要請したと、この件に詳しい関係者は述べている。一方、世界の保険会社は、中国や台湾に投資する企業をカバーするための新たな保険契約の締結を控えており、ロシアのウクライナ侵攻以来、政治リスクの補償費用は60%以上高騰している。

ボストン大学のマーク・ウィリアムズ教授は、「米国による制裁の可能性や、中国が資本流入を制限することで対応する可能性などの政治的リスクにより、リスク管理者は多忙を極めている」と述べている。「制裁合戦はビジネスのコストを大幅に引き上げ、米国の銀行は中国戦略の見直しを迫られることになる」。

台湾をめぐる北京とワシントンの激しい口論は、ロシアの戦争で世界最大の金融機関が予想外に事業から撤退し、超富裕層へのサービスを停止させられたわずか数カ月後に、企業を不安に陥れた。米国の国会議員は先週、中国が台湾を侵略した場合、撤退するかどうかという質問に答えるよう、銀行への圧力を強めた。

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