
米国が期待するアジア半導体同盟が厄介なことに

九州の中都市、熊本市の郊外にある活気あふれる建設現場には、クレーンがそびえ立っている。その足場には、やる気を起こさせる横断幕が吊るされている。「いつも笑顔で」。白いフェンスが立ち並び、キャベツやニンジンの畑と鉄骨の建物を分けている。アジアで最も地政学的に重要な建築現場であることを示すものはほとんどない。
しかし、このプロジェクトの重要性を示す手がかりはある。建設現場の壁には、台湾の大手半導体メーカーTSMCの日本法人の名前である「JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社)」の文字が書かれている。この先には、ソニーと東京エレクトロンという日本の2大半導体企業の、何の変哲もない建物が並んでいる。数年後、この新工場は主に自動車用のチップを生産し始める予定だ。日本の政府関係者は、かつて強大だったが今は低迷している日本のチップ産業の活性化に役立つと期待している。熊本県の蒲島郁夫知事は、「シリコンアイランド」としての九州の名声を復活させたいと語っている。