
世界有数の汚染国であるインドがクリーンテックに巨額の投資を行う理由

世界有数の汚染国であるインドは、電力のほぼ4分の3を石炭から得ており、現在39基の石炭火力発電所が建設中である。中国を除くどの国よりも多くの石炭を採掘し、燃やしている。昨年のグラスゴーでの気候変動会議では、地球温暖化の最大の原因である石炭を段階的に削減する取り組みを妨害し、ガーデンパーティーに現れたスカンクのような存在となった。
しかし、この煤にまみれた強引さは、逆に劇的なトレンドから目を逸らしている。インドのナレンドラ・モディ首相は、部下たちが石炭を擁護する一方で、グラスゴーで一連の公約を発表し、それが守られれば、自国をグリーンエネルギー大国にすることができると述べたのだ。最も目を引くのは、インドが2070年までに温室効果ガス(GHG)の「ネットゼロ」排出を達成すること、つまりそれまでに除去できなかった排出を何らかの方法で相殺することを約束したことだ。
その目標とは、排出量を現在の軌道から10億トン削減することと、そのために非化石発電(原子力、水力、風力、太陽光を含む)をおよそ150GWから500GWへと3倍以上増加させるというものだ。
インドは世界第3位の温室効果ガス排出国である。もし、モディ氏の目標を達成できれば、自国のエネルギーミックスを大きく変えるだけでなく、地球温暖化防止に向けた世界の取り組みに大きな弾みをつけることができる。さらに、モディ氏は、自然エネルギーを利用したクリーンな燃料である「グリーン水素」を開発することを「国家的使命」と宣言しており、世界的に見ても頑強な汚染者である産業の脱炭素化に貢献することができるだろう。しかし、こうした野望はどの程度実現可能なのだろうか。