
日本のエネルギー主導のインフレ率は2年ぶりの高水準に
日本のエネルギー価格主導のインフレは2年ぶりの高水準に達した。エネルギー価格は物価全体を約1.5%ポイント押し上げた。円安は家計や企業のコスト上昇を増幅している。
日本の3月の主要消費者物価は過去2年以上の最速ペースで上昇し、4月にさらなる加速が見込まれることから、中央銀行の緩和政策スタンスの伝達を複雑にしている。
総務省が金曜日に発表したところによると、生鮮食品を除く物価は前年比で0.8%上昇し、エコノミストの予想と一致した。エネルギー価格は20.8%上昇し、過去41年間で最も高い上昇率を記録した。
この結果、日本のインフレ率は他の主要国の高騰した水準に遠く及ばず、日銀は他の中央銀行が借入コストを引き上げようとする中でも、底値の金利を維持しなければならないと主張することが可能になった。
しかし、インフレが加速するたびに、日銀のメッセージは複雑になっている。4月に予想される2%近いインフレ率の急激な上昇は、黒田東彦総裁が円安とその悪影響を助長する代償を払ってまでなぜ刺激策に固執するのかという疑問をさらに引き起こしそうである。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎 経済研究部 経済調査部長は「結果はコストプッシュ型インフレであることを示しており、日銀の主張を裏付けるものだ」と述べた。「米国と違って基調に変化はなく、インフレに対する日銀の行動の必要性は低い。問題は、円安を遅らせるために政策調整を行うかどうかだ」
インフレ率は、来週の日銀政策決定会合での議論の重要な部分を占め、今年中に政策行動を起こす可能性があると見るアナリストが増えている。1年前の携帯電話料金の引き下げが計算から外れ始めると、4月の物価指数は急激に上昇すると予想される。
黒田総裁はFRBのような政策の正常化に向かうという考えを否定している。コストによって押し上げられたインフレ率の上昇は、経済を減速させるリスクがあると主張しているからだ。黒田総裁のハト派的なスタンスは、投資家が日本国外のより高い利回りを求めているため、今週20年ぶりの円安水準まで円安を進めるのに役立った。
通貨の頭痛の種
円は、家計や企業がすでに直面しているコスト上昇を増幅させているため、日本の当局者にとって頭痛の種となっている。ロシアのウクライナ戦争に起因する商品価格とエネルギー価格のさらなる上昇は、天然資源の輸入に大きく依存している脆弱な経済を直撃すると予想される。
3月のデータによると、エネルギーは物価全体を約1.5%ポイント押し上げた。加工食品のコストは0.44ポイント上昇し、インフレが経済全体にさらに波及する兆しを見せている。
岸田文雄首相は、エネルギー価格の上昇や生活必需品の価格上昇の影響を緩和するための施策を、今後数日のうちに発表する予定である。岸田首相は、今夏に行われる重要な国政選挙を前に、国民の支持を維持し、長期的な政権維持につなげたい考えだ。
アイスクリームからチーズまで幅広い食品を製造する明治ホールディングスは今月初め、声明で8.6%もの値上げを発表した。これは、消費者と痛みを分かち合うことなくコスト上昇を吸収しようとするのではなく、価格変動を受け入れようとする企業間の緩やかなシフトの一例に過ぎない。
それでも、賃金が強く伸びないことが、日銀が景気刺激策を続ける決意を固めるのに役立っている。民間のエコノミストは、今年度のインフレ率は平均1.8%だったが、来年4月からの1年間は再び1%未満まで減速すると予測している。
Toru Fujioka. Japan’s Energy-Driven Inflation Hits Fastest Pace in 2 Years. © 2022 Bloomberg L.P.