
ウォール街、中国資産に強気に転換-23年の大きなトレードとの期待も
中国で成長を抑制する政策が2年余り続いた続いたことを受け、海外投資家は同国を敬遠していたが、これらの投資家を呼び戻すのには2週間しかかからなかった。
(ブルームバーグ):中国で成長を抑制する政策が2年余り続いた続いたことを受け、海外投資家は同国を敬遠していたが、これらの投資家を呼び戻すのには2週間しかかからなかった。
モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ (BofA)、TCW、フィデリティ・インターナショナル、フランクリン・テンプルトンなど、グローバル市場の大手プレーヤーは、中国資産に一段と強気に転じている。先月には、外国企業が中国株・債券から推計88億ドル(約1兆2400億円)を引き揚げたほか、アナリストはさらなる状況悪化を予想していた。
こうした劇的な転換の背景にあるのは、中国がより成長支援の方向にシフトしたように見えることだ。同国は経済・社会的コストを最小限に抑えるため新型コロナウイルス対策を微調整するとともに、不動産市場への救済策を発表したほか、西側との緊張緩和に動いた。
その結果、中国本土株は今月に入り約7%上昇し、人民元はこのままいけば月間ベースで9カ月ぶりの上昇となる。米欧の金融引き締めで先進国が近くリセッション(景気後退)入りするとの懸念から、外国企業は主要なポートフォリオのヘッジとして一段と中国に注目している。
TCWグループのソブリンアナリスト、デービッド・レビンガー氏は先週のポッドキャストで、「投資家は2023年の世界の大きなトレードの一つが何になるか考え始めなければならないが、それは中国の経済再開トレードになる見通しだ」と指摘。「中国の新型コロナ政策の方向性は明確だ。テールリスクも低下し、ロックダウン(都市封鎖)が永遠に続くわけではないだろう」と述べた。
ただ、海外投資家が慎重さを捨て去る用意があるわけではない。ここ数カ月に中国へのエクスポージャーを削減した企業の多くは、早期にそれを回復させる意欲はほとんどない。中国指導部が一段とイデオロギー色の強い政策を追求しているとの懸念がある上に、欧米との関係は依然緊張をはらんでいる。
しかし、年間ベースで20年超ぶりのポートフォリオからの資金流出や同国として過去最大級の株安の中で、中国指導部はグローバル投資家の訴えに従っていないにしても、少なくとも懸念に耳を傾けているようには見える。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の中国株調査共同責任者、ウィニー・ウー氏(香港在勤)は「利益をもたらす効果がある限り、投資家は戻ってくるだろう」と分析した。同氏のチームは最近、中国株に強気に転じた。
原題:Wall Street Wants Xi’s Money-Minting Markets to Come Back (1)(抜粋)By Sofia Horta e Costa、Tania Chen
--取材協力:Qizi Sun、Ye Xie.
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