![地球温暖化で南極大陸に「極端現象の連鎖」リスク、研究で指摘[ブルームバーグ]](/content/images/size/w2640/2023/08/400313604--1-.png)
地球温暖化で南極大陸に「極端現象の連鎖」リスク、研究で指摘[ブルームバーグ]
南極大陸の海洋熱波や氷の減少などの異常気象は、早急な政策行動によって化石燃料の燃焼を減らさない限り、さらに激しさを増すことが新たな研究で明らかになった。
(ブルームバーグ) -- 南極大陸の海洋熱波や氷の減少などの異常気象は、早急な政策行動によって化石燃料の燃焼を減らさない限り、さらに激しさを増すことが新たな研究で明らかになった。
温室効果ガスの継続的な排出が、2015年のパリ協定で定められた1.5℃の温暖化限界に危険なほど近づいているため、「温室効果ガスの継続的な排出が、イベントの規模と頻度の増加につながることは事実上確実である」と、火曜日に環境科学誌『Frontiers in Environmental Science』に発表された研究結果は述べている。「極端な事象が複数の領域で広範囲に連動した影響を及ぼす可能性のある、将来の極端現象の連鎖を否定することはできない。
科学者たちは、南極の氷が2月に過去最低を記録した後、再び成長しようと奮闘していることに警戒を強めている。この通常からの極端な逸脱は、「シックス・シグマ・イベント」(750万年に一度の現象)と呼ばれている。北極圏も2030年までに夏には氷がなくなると予想されており、地球温暖化が急速に地球の生態系にダメージを与えていることを物語っている。

南極大陸の海氷は例外的に少ない|南半球の氷の面積は数百万平方キロメートルである。
気温の上昇により、6月と7月は記録的な暑さとなり、山火事や熱波がカナダやヨーロッパ諸国を襲った。南米でも、チリの一部で30度を超える気温が観測されるなど、前例のない冬の気温に悩まされている。
世界で最も極端な熱波は南極大陸東部で記録された。南極大陸と南氷洋における気候の極端さを検討した研究によると、2022年に気温が平年を38.5度上回った。この研究の著者はまた、海氷の減少がより頻繁に起こるようになり、北極と同様に、氷の減少によって太陽熱がより多く吸収され、より少なく反射されるようになるため、自己増殖的になる可能性があると警告している。
この研究は、南極大陸が今後数十年の間にかなりのストレスとダメージに直面する可能性が高いと結論づけている。英国、米国、インド、中国を含む12カ国は、1959年の南極条約を通じて、南極大陸の脆弱な環境を保護することを誓約した。同調査によれば、一部の国々は、排出量削減のための緊急行動をとらない限り、この協定に違反する危険性があるという。
「世界のどこでも化石燃料の探査、採掘、燃焼を続ければ、南極の環境はその誓約に反する形でますます影響を受けることになることを、各国は理解しなければならない」と、主執筆者であるエクセター大学のマーティン・シーガート教授は火曜日の声明で述べた。
南極の海氷が解けるにつれ、南極大陸のより多くの地域が船舶でアクセスできるようになる可能性がある。
「南極の変化は世界的な影響を及ぼす」とシーガート教授は言う。「温室効果ガスの排出を正味ゼロにすることが、南極大陸を保護する最善の方法であり、地球上のすべての国、そして個人にとって重要なことなのだ」
Antarctica Risks ‘Cascades of Extreme Events’ as Earth Warms, Study Says
By Liza Tetley
© 2023 Bloomberg L.P.
翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ