企業は深刻な債務超過に陥っている[英エコノミスト]
![企業は深刻な債務超過に陥っている[英エコノミスト]](/content/images/size/w1200/2023/05/shubham-dhage-zUxckyIZW0U-unsplash--1-.jpg)

欧米の経済にとって、この数ヶ月は不安な時期だった。まず、銀行セクターで神経を逆なでするような危機が発生した。そして、リスクのないはずの米政府がデフォルト(債務不履行)に陥るという、まだ解決されていない事態が発生した。そして今、多くの人々が、隠れた危険が待ち構えていることを心配している。
懸念されるのは、歴史的な低金利のせいで非金融企業がここ数十年の間に積み上げた多額の債務であることは理解できる。2000年以降、欧米の非金融企業の債務は12.7兆ドルから38.1兆ドルに増加し、欧米諸国のGDPの合計に対する比率は68%から90%に上昇した。良いニュースは、好調な利益と固定金利の債務によって、欧米で企業債務に起因する大災害が発生する見込みが、今のところ慈悲深いほど低いということだ。しかし、悪いニュースとしては、企業は近い将来、負債による痛ましい二日酔いに目覚め、将来の選択を制約されることになるだろうということだ。
欧米の企業債務の山は、今のところ、多くの人が懸念していたほどには揺らいでいないことが証明されている。大西洋の両側で、格付け機関がカバーする債務のおよそ3分の1は、投機的格付け、より好意的に言えば「ジャンク」と呼ばれる、返済の見込みが薄いものとみなされている。これらの債務のデフォルト率は、米国でもヨーロッパでも3%程度にとどまっている(図表1参照)。パンデミック時代に急増した、より安心できる投資適格から投機的への格下げも、その後、ほぼ逆転している。

この回復力には2つの理由がある。第一に、企業収益が予想を上回ったことである。エコノミスト誌の計算によると、欧米の非金融系上場企業の2022年最終四半期の金利・税・減価償却前利益は、2019年同期比で32%増となった。その一部は、エネルギー産業の豊作によるものだが、すべてではない。ファストフードチェーンのマクドナルドから自動車メーカーのフォードに至るまで、今年第1四半期の業績でアナリストの予想を手堅く上回った企業がある。消費財大手のプロクター・アンド・ギャンブルなどは、価格の引き上げや支出の削減によって、コストインフレに直面しても利益を守ることに成功した。そのため、金利を払い続けるための資金が潤沢に残されている。