アル・ゴア、石油大手との取引で「大儲け」する金融機関を非難［ブルームバーグ］

(ブルームバーグ) – 気候変動活動家に転身したアル・ゴア元米副大統領は、大手石油会社とそれを支援する銀行には、化石燃料に固執する莫大な金銭的インセンティブが残っていると述べた。

ゴアは、国連総会に合わせて毎年ニューヨークで開催されるビジネス界と政府首脳の集まりである「クライメート・ウィーク」を前にしたインタビューで、銀行家は化石燃料企業への融資やアドバイザーとしての役割から「莫大な利益を得ている」と語った。化石燃料企業にこの危機の解決を期待するのは少し非現実的である。

しかし、気候危機は「化石燃料の危機」であり、世界は石油産業が助けてくれると仮定することなく、温室効果ガス排出量を削減する方法を見つける必要がある、とゴアは述べた。

この評決は、エネルギー企業が化石燃料事業を倍増させ、自然エネルギーへの野心を縮小させる中で下された。同社は6月、年間支出の大半を石油とガスに費やすと発表した。この戦略は気候変動活動家たちから「破滅的」と呼ばれているが、同時に同社の株価は10％上昇した。

石油アナリストたちはすでに、BPの最高経営責任者（CEO）バーナード・ルーニーが今週退任することを示唆している。

このことは、これまで何度も環境保護への取り組みを怠ってきたと非難されてきた大手石油会社が、今や環境保護への取り組みを口にすることにさえ興味を失いつつあることを示唆している。一方、最近の調査によると、銀行は利害関係者に炭素排出量の評価に必要な情報を提供していない。

ブルームバーグNEFの試算によると、今世紀半ばまでに世界がネット・ゼロ・エミッションを達成するためには、銀行は10年後までに化石燃料の4倍の資本を再生可能エネルギーに振り向ける必要がある。最新の試算では、この数字は0.8対1に近い。

「石油会社に融資している銀行は、長い間続けてきたことで大きな利益を得ている」とゴアは言う。「しかし、彼らは変わらなければならないことを知っている」。

アラブ首長国連邦（UAE）が主催し、アブダビ国営石油会社（ADNOC）のCEOであるスルタン・アル・ジャベールが議長を務める今年のCOP28気候サミットには、世界最大の銀行や石油生産会社の幹部が参加する。

この設定は、石油とガスの採掘量を増やすというADNOCの目標を指摘する気候活動家たちの怒りを買った。UAE最大の石油生産者である同社は、開発中の炭素回収技術に投資することで、生産量の増加と排出量の削減を同時に実現できると主張している。

ゴアは、石油国家の石油幹部を気候変動協議の責任者に据えることは、「よく言っても疑わしい提案だ」と述べた。

それでもゴアは、地球温暖化との闘いには明るい展望もあると強調した。75歳の彼は、自身が会長を務めるジェネレーション・インベストメント・マネジメントが発表した報告書の中で、電力網からの世界的な排出量はまもなく「ピークを迎え、減少に転じる」と指摘している。

同レポートによれば、クリーンエネルギーへの投資資金の年間フローは、化石燃料へのフローを70％上回っているという。

「気候変動に絶望している暇はない」とゴアは言う。「絶望の解毒剤は行動であり、世界は今、行動を起こしている」

ゴアによれば、その例として、バイデン政権の画期的な気候変動法案（インフレ削減法＝IRA）が挙げられる。「私たちはIRAの影響を過小評価してきた。これは、ヨーロッパや中国で行われているグリーンテクノロジーへの巨額の投資の上に成り立っている」。

エネルギー転換における中国の役割は「逆説的」だとジェネレーションは報告書で述べている。他のどの国よりも石炭火力発電所を建設しているにもかかわらず、クリーンエネルギーへの支出は他のどの国よりも多いという。

しかし、環境に配慮した支出に関しては、中国は「過少な約束と過大な提供」をする傾向がある、とゴアは述べた。

インドも追いつきつつある。

「昨年の新規発電量のうち、太陽光発電と風力発電が占める割合を尋ねたら、ほとんどの人は93％という答えに驚くだろう」とゴア。「かなり劇的な変化です」。

オーストラリアとブラジルの新政権も、気候擁護者たちに希望を抱かせたとゴアは言う。

「我々はもっと多くのことをする必要がある」、しかし「進歩は非常に印象的であり、勇気づけられる」とゴアは語った。

Al Gore Calls Out the Bankers ‘Profiting Hugely’ From Big Oil

By Alastair Marsh

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翻訳：吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ