
FTX残骸に絶好のチャンス、ディストレスト投資家が手を伸ばす理由
米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻した暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの顧客が同社からどの程度資金を回収できるか分かるのは、数年後と言わないまでも数カ月先になりそうだ。
(ブルームバーグ):米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻した暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの顧客が同社からどの程度資金を回収できるか分かるのは、数年後と言わないまでも数カ月先になりそうだ。
ブルームバーグ・ニュースが先週伝えたところでは、ディストレスト債投資で最も経験豊富な投資家の一部が既にディール獲得に動いている。
経営破綻した企業の残骸を丹念に調べ上げて利益を得るそれらの企業にとって、今回ほどの規模の破綻が巡って来るチャンスは多くない。バウポスト・グループやオークツリー・キャピタル・マネジメントといった投資運用会社が、FTXから資産が戻らない顧客の債権取得について問い合わせを行っていることもうなずける。バウポストとオークツリーはコメントを控えている。
FTXの顧客は幾らかの現金が今得られる「クレームズトレード」と呼ばれる取引を通じて、債権のごく一部しか回収できない状況を受け入れるほど、必死にならざるを得ないと予想される。
かつて不正会計のエンロンも手掛け、破産法の適用申請後にFTXの最高経営責任者(CEO)に就任したジョン・J・レイ氏を中心とする破綻処理の専門家らによれば、サム・バンクマンフリード被告らが共同で創業したFTXの主要部門の負債は79億ドル(約1兆500億円)に上る。
これまで確認されたデジタル資産は10億ドル余り、現金は約12億ドルにすぎず、FTXの弁護士が先月判事に語ったところでは、同社のかなりの資産が盗まれたか所在不明だ。
失われた資産が見つからない場合、債権取得を目指す買い手らは、FTXの管財人が別の場所から回収できる可能性を検討するだろう。FTXは政治献金を取り戻すことを既に示唆しており、バハマにも回収すべき資産があると考えられる。
FTXの管財人は、グループ内のトレーディング会社アラメダ・リサーチに関係する米ロビンフッド・マーケッツの株式4億4000万ドル相当も管理下に置こうとしている。債権トレーダーらは現在の価格が1万7000ドルを下回るビットコインなど、顧客が所有する暗号資産についても、価値が回復するかどうか判断する必要があろう。
原題:The FTX Trade That’s Tempting Oaktree and Baupost: Credit Weekly(抜粋)
--取材協力:Dana El Baltaji、Andrew Monahan、Wei Zhou、Rachel Butt、Justina Lee、Steven Church、Jeremy Hill、富沢綾衣、Luca Casiraghi、Hannah Benjamin-Cook.
© 2022 Bloomberg L.P.