グリーン水素市場の開拓を目指す中国
10年前、中国は低価格を武器に太陽光発電の製造を独占し、世界のパネル需要が急増し始めると同時に欧米の競合他社を一掃した。米国と欧州は、水素で同じことが起きないようにすることを決意している。

(ブルームバーグ) -- 10年前、中国は低価格を武器に太陽光発電の製造を独占し、世界のパネル需要が急増し始めると同時に欧米の競合他社を一掃した。米国と欧州は、水素で同じことが起きないようにすることを決意している。
世界が脱炭素社会を目指す中、次なる競争相手は「電解槽」と呼ばれる装置である。これを太陽光発電などのクリーンな電力に接続すれば、地球温暖化ガスを一切出さずに水から水素を取り出すことができる。鉄鋼、セメント、海運などの産業を脱炭素化するグリーン燃料を作るための重要なステップとなる。

世界中の企業がすでに電解槽の生産を活発化させ、グリーン水素プラントが建設中であり、業界はパイロットプロジェクトから産業規模への飛躍を遂げようとしている。クリーンエネルギー研究機関BloombergNEF(BNEF)は、2030年までに世界の電解槽の生産量を91倍に拡大しなければ、需要を満たすことができないと予測している。しかし、欧米のクリーンテクノロジー業界のベテランたちの多くは、この新たな競争に既視感を抱きながら目を光らせている。BNEFによれば、現在製造されている電解槽の40%以上が中国製である。