世界経済が後退したと言うのは時期尚早である理由
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世界経済が後退したと言うのは時期尚早である理由

エコノミスト(英国)
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最近は誰もが悲観論者だ。7月14日、投資調査会社TS Lombardのスティーブン・ブリッツは、バンク・オブ・アメリカが同じ発言をした翌日、世界最大の経済圏では今年中に不景気に入ると予想していると述べた。ゴールドマン・サックスも、ユーロ圏のGDPは第3四半期、第4四半期ともに減少すると予想している。アメリカ人の「リセッション(不況)」に対するグーグル検索は、かつてないほど高い数値を示している。トレーダーは銅を売り(産業の健全性を示す指標)、ドルを買い(神経質になっている証拠)、2023年の利下げを織り込んでいる。

様々な要因が重なり、有毒な混合物が出来上がってしまった。コロナ・パンデミックに対応するため、アメリカは経済を過剰に刺激し、消費者の旺盛な需要が世界のサプライチェーンを混乱させ、国内だけでなく国外にもインフレを誘発した。さらに、中国がコロナを根絶やしにしようとしたことも、この問題を深刻化させた。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻で、コモディティ価格が高騰した。このインフレを受け、世界の中央銀行の5分の4が平均1.5ポイントの利上げに踏み切った。7月27日に終了した米連邦準備制度理事会(FRB)の会合で、このサイクルでは4回目となる4分の3ポイントの利上げが実施された。

景気後退懸念の根底にあるのは、金融引き締めの結果に対する恐怖心である。中央銀行が「パーティーからパンチボウルを取り上げなければならない」ことは明らかである。生産性の伸び悩みを考えると、豊かな世界の賃金上昇はあまりにも強力である。インフレ率も高すぎる。しかし、金利が上昇すると、パーティーの騒がしさが和らぐどころか、完全に終わってしまうというリスクがある。この点については、歴史は楽観的ではあらない。1955年以降、米国で今年と同じように金利が上昇したのは、1973年、1979年、1981年の3回である。いずれも半年以内に不況に見舞われた。

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