中国ゲーム市場の成長神話が崩壊

過去10年間、中国のゲーム産業は爆発的な成長を遂げ、市場規模では米国を抜き、テンセントやネットイースといった世界的なパブリッシング大手が誕生した。しかし、市場が飽和状態に近づき、政府の取り締まりも相まって、全盛期は終わりを迎えている。


中国最大のゲーム産業協会である中国音像・デジタル出版協会ゲーム出版工作委員会(中国音数协游戏工委、GPC)が火曜日に発表した 報告書によると、中国のビデオゲームセクターは少なくとも2008年以来、初めて売上高の減少を記録した。

2022年のビデオゲームの売上高は2,659億元(約5兆1,800億円)で、前年比10.33%減となったそうだ。全体のユーザー規模は前年比0.33%減の6億6,400万人に縮小した。

1月に発表された中国のゲーム市場の調査会社、CNG中新遊戯研究(伽馬数拠)の統計によると、2022年の中国市場の70%を占めるモバイルゲームの売上高は、14.4%減の1,931億元。eスポーツ・ビジネスも減少傾向にあり、14%減の1,445億元だった。プレーヤー数も0.33%減の6億6,400万人とわずかに減少した。

CNGは、昨年国内で承認されたゲームライセンスは512件で、内訳は国内タイトル468件、海外タイトル44件だったとしている。これは2021年に認可されたゲーム数755本、国内タイトル679本、海外タイトル 76本と比較すると激減している。2022年4月に2回目の9ヶ月間の認可凍結が終了して以来、ライセンス付与は遅々として進んでいない。

伽馬数拠は「業界全体がプレッシャーにさらされている」とコメントし、COVID-19の規制だけでなく、海外との激しい競争、消費者の支出減、人材採用の問題などを要因として挙げている。

成長時代が終わった中国ゲーム業界。出典:游戏工委

新たな成長機会を求めて、中小のスタジオからテンセントのような大企業に至るまで、海外に進出している。中国のゲームは長年輸出されてきたが、ここ最近、欧米に食い込むようになった。市場調査会社センサータワーの調査によると、2020年末には、中国製タイトルが米国でのモバイルゲーム収益の20%を占めるまでになったという。昨年7月、世界のモバイルゲームの収益上位100本のうち39本が中国企業によるものだった。

例えば、テンセントは、Riot Games、Funcom、Sharkmob、Leyou Technologiesグループ(Digital ExtremesとSplash Damageを含む)、およびRemedy、Epic Games、Activision Blizzard、Ubisoft、Krafton、Supercell、Frontier Developmentsなどに対する4~84%の出資によって、グローバルゲーム事業において非常に強固な基盤を有している。あるいは、MiHoYoが開発した、日本のゲームのモチーフを全面に使ったRPGゲーム「原神」は、2年前の発売以来、37億ドルのプレイヤー支出を記録した。

中国のゲーム・デベロッパーは、他の種類のインターネットサービスと同様に、「中国製」というレッテルを貼られることによる反発を避けるために、ますますその出自を隠そうとする傾向にある。例えば、インドは、中国との関係が悪化したため、世界的に大ヒットしたPUBGモバイルを含む数百の中国製アプリを近年禁止している。