鴻海、AIを活用してEVでの事業拡大を目指す[ブルームバーグ]
iPhone組立企業として知られる鴻海精密工業は、人工知能(AI)を統合することで電気自動車(EV)への参入を拡大し、自動車産業で最も注目される分野への戦略を強化しようとしている。
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(ブルームバーグ) – iPhone組立企業として知られる鴻海精密工業は、人工知能(AI)を統合することで電気自動車(EV)への参入を拡大し、自動車産業で最も注目される分野への戦略を強化しようとしている。
鴻海CEOの劉揚偉は、台湾で開催されたレーザーとド迫力の音楽が鳴り響くイベントで、サプライズゲストとともにピカピカの青いEV「モデルB」に乗ってステージに登場した。AIチップのリーダーであるエヌビディアの最高経営責任者(CEO)であるジェンスン・フアンも加わり、自律走行などの技術で自動車をよりスマートにする取り組みについて語った。
2人は「AIファクトリー」と呼ぶコンセプトをスケッチした。このコンセプトでは、両社がEVからデータを収集し、その情報をフィードバックして自動車の技術を改善する。
「この車はもちろん、人生経験を経て、より多くのデータを収集し、そのデータはAIファクトリーに送られる。AI工場はソフトウェアを改良し、エンド・トゥ・エンドのシステム全体をアップデートするだろう」
2人は、モデルBの名称は「美(Beauty)」と「野獣(Beast)」を表していると冗談を言った。
鴻海は、アップルやアマゾン・ドット・コムからHPやソニー・グループまで、コンシューマー・エレクトロニクス機器の縁の下の力持ちとして成功を収めた。しかし、パソコンやスマートフォンの市場が停滞する中、台湾企業は成長のために自動車に軸足を移そうとしている。

劉は2020年の時点で、2025年までに世界のEV市場の10%を獲得するという目標を描いていた。しかし、鴻海は、初期の取り組みでつまずいたことがある。
鴻海は昨年、オハイオ州にあるロードスタウン・モーターズの製造施設を買収することでアメリカに自動車拠点を設立し、昨年9月には同社のEV製造を開始した。しかし、両社は激しい論争に陥り、6月にロードタウンが破産申請を行うに至った。オハイオ工場の2番目の顧客候補だったIndiEV Inc.は、10月に破産を申請した。
鴻海のEV部門であるFoxtronと台湾のパートナーである裕隆汽車は、第4四半期に顧客であるLuxgen Motor Co.に最初の車を納入する予定だ。しかし、この車の大量生産がいつ開始されるかは明らかになっていない。
台湾のイベントで劉は、AI工場のモデルはあらゆる産業で再現できると述べた。彼の目標は、ブランド顧客のために舞台裏の能力を構築する鴻海の専門知識を、スマートシティ、スマート製造、スマートEVなどの分野に持ち込むことだ。
Hon Hai Aims to Use AI to Expand Its Push into Electric Vehicles
By Jane Lanhee Lee and Debby Wu
© 2023 Bloomberg L.P.
翻訳:吉田拓史