キノコは最大50の「言葉」を使って意思疎通すると科学者が主張

キノコが人間の言語に似た構造でコミュニケーションをとっている可能性があることが、最新研究で示唆された。

西イングランド大学のコンピューティング研究所のアンドリュー・アダマツキー教授は、4種類の菌類(きのこ)が発生する電気スパイクのパターンを分析し、調査を行った。アダマツキーは4月初旬に学術誌『Royal Society Open Science』にその結果を発表した。

この研究は、これらのスパイクが、しばしば、最大50語のボキャブラリーに似た活動列に集まっていること、そして、これらの「菌類の言葉の長さ」の分布が、人間の言語のそれと密接に一致することを発見している。最もよく使われる単語は15〜20個で、「菌類語」の長さは平均5.97であり、これは人間の言語に匹敵する、と論文は主張している。

キノコが発する電気信号を計測する様子。Spurce: Adamatzky(2022)

このような電気的活動の波が発生する最も可能性の高い理由は、菌類の完全性を維持するため、あるいは、新しく発見した誘引物質や忌避物質の源を菌糸体の他の部分に報告するためだとアダマツキーは示唆した。

計測された電気活動の例。

もう1つ、何も言わないという伝え方もあるようだ。「増殖する菌糸の先端は帯電しており、したがって、帯電した先端が一対の差動電極の中を通過するとき、電位差のスパイクが記録される。

それまでの研究から、菌類(きのこ)は菌糸と呼ばれる地下の長い糸状の構造体を通して電気インパルスを伝達していることが示唆されている。これは、人間の神経細胞が情報を伝達する方法と似ている。さらに、木材を消化する菌類の菌糸が木のブロックに接触すると、このインパルスの発火率が上昇することも明らかになっている。菌類はこの電気的「言語」を使って、食物や怪我に関する情報を、自分の離れた部位や、菌糸でつながった相手(木など)と共有している可能性が出てきていた。

言語の複雑さは、菌類の種類によって異なる。この研究では、スプリットギル菌が最も語彙の多い複雑な文章を生成できることがわかった。一方、エノキタケなどの他の種は、語彙がかなり少ないことがわかった。

菌糸が発する電気信号を「言語」として解釈すべきか否かは、さらなる研究が必要そうだ。