![韓国LG、米国市場で蓄電池の売上増を狙う[ブルームバーグ]](/content/images/size/w2640/2023/09/401916687.jpg)
韓国LG、米国市場で蓄電池の売上増を狙う[ブルームバーグ]
韓国の電池メーカー、LGエナジー・ソリューション・リミテッドは、エネルギー貯蔵システム(ESS、蓄電池)の売上高を3倍に引き上げるため、米国での生産拡大を検討している。
(ブルームバーグ) – 韓国の電池メーカー、LGエナジー・ソリューション・リミテッドは、エネルギー貯蔵システム(ESS、蓄電池)の売上高を3倍に引き上げるため、米国での生産拡大を検討している。
同社のESS事業を率いるチャン・スンセは、アリゾナ州でグリッドスケールの蓄電池を生産するための23億ドルの支出計画を3月に発表した後、LGは米国でのさらなる投資を検討していると述べた。チャンは、2030年までに北米がLGのESS売上高の最大70%を占めるようになり、今後5年間でESS部門からの総売上高が3倍になると述べた。
チャンは、米国への追加投資の詳細については明言を避けた。
韓国メーカーの米国進出は、中国メーカーを撃退し、エネルギー貯蔵分野での影響力を取り戻すための努力を強調するものだ。同社は北米でより高級な蓄電システムを供給することに注力し、プレミアム製品に特化し、ジョー・バイデン米大統領のインフレ抑制法によって支給される税額控除の恩恵を受けることになるだろう、とチャンは述べた。
「中国のサプライヤーがアメリカで我々と直接競争するのは難しいでしょう」と、業界見本市RE+ 2023のためにラスベガスに向かう前のインタビューで彼は語った。「中国と市場占有率で勝負することは、我々の計画にはない」。
この拡張計画は、2017年から2019年にかけて韓国で相次いだエネルギー貯蔵施設の火災事故が、同国におけるエネルギー貯蔵セクターの成長を阻害し、政府の規制強化を促した後に生まれた。安全性は、韓国の送電網の脱炭素化を阻む重要な要因のひとつと考えられている。

韓国のESS電池メーカーが安全性の懸念に取り組む中、中国の最大のライバルが世界市場でより多くのシェアを獲得した。ソウルに本社を置くSNE Researchのレポートによると、寧徳時代新能源科技(CATL)と恵州億緯鋰能股份有限公司(Eve Energy)のシェアはそれぞれ約43%と7.8%に上昇し、LGのシェアは2021年の約18%から昨年は7.5%に急落した。
中国の内需高騰も中国メーカーに恩恵をもたらしている。BloombergNEFのレポートによると、世界のESS市場は年平均成長率23%を記録し、2030年には中国が米国を抜いて最大のESS市場になると予測されている。
LGは、テスラやゼネラルモーターズなど世界の自動車メーカーに供給しているEV用バッテリーの専門知識をESS市場で活用しようとしている。同社は、蓄電システムで従来使用されてきたニッケル・コバルト・マンガン(三元系)電池よりも比較的安全で安価な、リン酸鉄リチウム(LFP)電池をベースとした電池の開発と生産を加速させるとチャンは述べた。
「LFPは2030年まで定置用蓄電池市場の主流であり続け、2030年にはESSの蓄電池化学ミックスの65%を占めるだろう」とチャンは言う。「LG ESSが同業他社と競争するためには、LFP技術への投資が不可欠だ」
LGはまた、バッテリー製造以外の分野にも目を向けている。同社は、大規模なESSの運用を支援するため、ソフトウェア・エンジニアを増員する予定だ。より高度で統合されたソフトウェア能力を持つことは、バッテリーの安全性を確保するだけでなく、新たな収益源を生み出すためにも重要だと彼は言う。
今年50歳になる元コンサルタントのチャンは、フォルクスワーゲンな欧州の自動車メーカーと大規模な供給契約を結び、ポーランドに地域最大のバッテリー工場を建設した後、昨年LGのESS責任者に就任した。
「中国との競争は厳しくなる一方です」とチャンは言う。「信頼性と安全性の高いバッテリーだけでなく、ソフトウェア・システム全体を提供する総合的なソリューション・プロバイダーとなることで差別化を図らなければ、このゲームに勝つことはできないだろう」。
Battery Maker LG Eyes US Market to Lift Energy Storage Sales
By Heesu Lee and Heejin Kim
© 2023 Bloomberg L.P.
翻訳:吉田拓史(株式会社アクシオンテクノロジーズ)