ソフトバンクGの人材流出が深刻化、孫氏へプレッシャーも
2020年11月4日(水)、横浜で開催された国際青年会議所(JCI)世界大会で基調講演を行うソフトバンクグループ株式会社の孫正義会長兼最高経営責任者(CEO)。

ソフトバンクGの人材流出が深刻化、孫氏へプレッシャーも

ソフトバンク・グループは経営幹部を次々と失い、ビジョン・ファンドの内部収益率(IRR)は低迷が続く。社内では、創業者・孫正義氏への権力集中が進み、 孫の関心はファンドからArmへと移っているという。

ブルームバーグ

(ブルームバーグ) -- 孫正義氏はソフトバンク・グループの経営幹部を次々と失い、日本のコングロマリットの見通しがますます不吉になる中、創業者の肩にさらなる責任を負わせようとしている。

ブルームバーグ・ニュースが先週報じたところによると、同社のビジョン・ファンドのマネージングパートナーであるヤンニ・ピピリスとムニッシュ・ヴァルマの2人がさらに退職し、世界最大の投資ファンドからのトップレベルの離職者は2020年3月以来少なくとも10人となった。長年ビジョン・ファンドを率いてきたラジーブ・ミスラは、自身の投資ファンドを立ち上げるため、ほとんどの肩書きと責任を手放すことになった。最高執行責任者のマルセロ・クラウレは今年初めに退職し、ミスラやクラウレとともにソフトバンクの役員を務めてきた最高戦略責任者の佐護勝紀は2021年に辞任した。

40年前に創業したソフトバンクの新たな方向性を模索するため、孫会長の独壇場となる。この問題に詳しい関係者によると、64歳の孫は、多額の損失を出したビジョン・ファンドから、新たな機会、特に英国のチップ企業であるArmへと焦点を移そうとしているとのことだ。この関係者によると、孫はチップ設計会社の位置づけを変え、利益を上げるためにコストを削減し、来年の株式公開に備え、その魅力を高める計画だという。

孫は5年前に通信コングロマリットを投資持株会社に作り変えて以来、幹部の確保に苦労してきた。2017年にオリジナルの1,000億ドル規模のビジョン・ファンドを設立した際、彼はベンチャーキャピタル企業がパートナーに与える利益分配や取引ごとの「キャリー」のようなものを提供することを断念した。近年のビジョン・ファンドの損失は問題を悪化させ、トップパフォーマーを誘うための全体的な利益はほとんど残っていない。

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