米国の風力発電の新規設備容量が56%減少、税制優遇措置の縮小で
米国の陸上風力発電所の設置ペースは昨年急落し、業界の苦境が発展途上の洋上風力発電部門に限ったものではないことを示す結果となった。

(ブルームバーグ) -- 米国の陸上風力発電所の設置ペースは昨年急落し、業界の苦境が発展途上の洋上風力発電部門に限ったものではないことを示す結果となった。
S&Pグローバルが発表した報告書によると、米国の風力発電事業者は昨年、6.7ギガワットの発電容量を設置したが、これは前年比56%減となった。これは、バイデン政権が再生可能エネルギーの導入を推進しているにもかかわらず、開発業者に対する税制優遇措置が減少したことが原因だ。
風力発電事業者は、5年間のプロジェクトパイプラインを77.2ギガワットとしており、この数字を達成するためには、年間平均15.4ギガワットの風力発電容量を設置する必要があると、S&Pは報告書で述べている。1ギガワットは、大型原子炉や天然ガス火力発電所の発電容量に匹敵する。
S&Pによると、陸上風力発電の場合、活動の落ち込みは、昨年着工したプロジェクトで廃止された生産税額控除の減少が主な原因だった。S&Pは、8月に署名されたインフレ削減法により、この税額控除の価値が回復したため、今後の風力発電所の建設が促進されると見ている。
一方、オフショア部門は、インフレと政治的な反発の高まりの中で、なかなか前に進まず、苦戦している。
業界団体のアメリカン・クリーン・パワーは、先月の調査報告書で、陸上風力発電の設置数の年間減少率を37%と算出した。
-- With assistance from Brian Eckhouse.
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翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ