クアルコムがArm中立化コンソーシアムの協力意思を表明 SBGから買収も視野

クアルコムは、Armへの出資を希望し、英チップ設計者を中立に保つためのコンソーシアムの創設に協力したいと改めて表明した。

クアルコムのCEOであるクリスティアーノ・アモン氏は、フィナンシャル・タイムズ紙に対し、同社がArmへの投資に関心を持っており、他のチップメーカーと手を組んで、オーナーのソフトバンクグループからArmを完全に買い取る可能性があると述べている。

株式の取得がコンソーシアムのメインの目標だが、買収を行うコンソーシアムが「十分に大きい」場合、他のチップメーカーと手を組んでArmを完全に買収する可能性があるという。

クアルコムはArmの主要なライセンシーの1つであり、同社のArmベースのシステムオンチップ(SoC)であるSnapdragonは多くのスマートフォンやその他のモバイルデバイスに搭載されている。

クアルコムは、少なくともArmの株式を所有することに関心を示している数社のうちの最新の1社に過ぎない。4月、韓国のチップメーカーSKハイニックスの共同CEOである朴正浩・副会長兼共同最高経営責任者がArmを買収するためにコンソーシアムを形成することを検討していると報じられた。

IntelのCEOであるパット・ゲルシンガーも、2月にサンフランシスコで開催された投資家会合で、Armの所有権を得るために出現するコンソーシアムに参加することに興味があると述べている。

一方、ゲルシンガーは今週、サムスンのボスである李在鎔氏と会談し、両社の協力関係について協議したと伝えられている。サムスンはArmのエコシステムに関心を持っており、自社でExynos Armプロセッサチップを製造している。

クアルコムのアモン氏は約1年前、オーナーのSoftBankがArmの上場を決めた場合、クアルコムは業界プレイヤーのコンソーシアムの一員としてArmに資本参加する用意があると述べていた。

NVIDIAが推定660億ドルでArmを買収するはずだったこの取引は、両者が売却を中止した理由の1つとして「規制上の重大な課題」を挙げ、結局失敗に終わっている。

IDCの欧州エンタープライズインフラストラクチャ担当リサーチディレクターであるAndrew Buss氏は、「チップ設計の独立プロバイダとしての重要性から、単一のグローバルプレーヤーに売却することは不可能だ」と以前に語っている。

しかし、チップメーカーのコンソーシアムがArmの全権を握るという見通しは、結局のところソフトバンクG自身によって阻まれるかもしれない。同社は株式公開後も全株を売却するのではなく、Armの支配権を維持する予定だ。

ソフトバンクGはこれまで、2023年3月期中にアームのIPOを完了させることを目指すと表明してきた。上場先はロンドンではなく、米国が望ましいとされている。