
識者に聴く 今後の最大の経済リスクはこれだ
経済にとって最大の脅威となるものは何か、専門家に見解を聞いた。インフレ、景気後退、スタグフレーション、その他あらゆる脅威について、識者たちが意見を述べている。
(ブルームバーグ・マーケッツ) -- 経済にとって最大の脅威となるものは何か、専門家に見解を聞いた。彼らの回答は、長さと分かりやすさのために編集されている。
ローレンス・ボーン、OECDチーフエコノミスト
現在、世界、特にヨーロッパが直面している最大の経済リスクは、エネルギーと食糧の危機である。第一に、物価の大幅な上昇により、貧困層だけでなく中流以下の多くの人々にとって手が届かなくなる。第二に、中東やアフリカで飢餓が発生するリスクが高まり、この冬だけでなく、来年の冬もエネルギー不足に陥るだろう。その結果、ヨーロッパでは社会的混乱が生じるリスクが高まる。中東やアフリカでは、10年ほど前に「アラブの春」があり、それがどのように政治的・社会的混乱につながったかは知っている。
ラファエル・ボスティック、アトランタ連邦準備銀行総裁
最大の経済リスクは、米国の消費者が物価の上昇が続くと予想し始め、その前提で支出を決定するようになることだ。期待値が固定されなくなることはないが、インフレ水準が高止まりすればするほど、そのリスクは大きくなる。FRBは物価上昇を定着させないためにできる限りのことをやっている。
モーリス・オブストフェルド、カリフォルニア大学バークレー校経済学部教授、元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミスト
地球社会は、気候変動、生物多様性の損失、森林破壊、海洋や飲料水へのマイクロプラスチックの拡散など、相互に関連する脅威からなる広範かつ加速的な環境悪化に直面している。病原性の脅威の悪化は、人類が惑星の境界線に衝突していることの一つの徴候に過ぎない。一方、国内の政治システムやグローバル・ガバナンスの仕組みは、私たちが直面する存亡の危機に対応できないでいるように見える。米国では、内向きで後ろ向きな少数派の政治家が政府を支配しており、国内政策やグローバルなリーダーシップが近代化の課題に対応する望みが失われているのである。