東京の熱波が示唆する、今夏の電力不足の深刻さ
2022年6月28日、東京・新宿で猛暑の中、日差しを避けるように傘をさして歩く歩行者。Photographer: Philip Fong/AFP/Getty Images.

東京の熱波が示唆する、今夏の電力不足の深刻さ

この夏、日本でさらなる供給不足が起こる可能性に備える必要がある。政府によると、日本の9つの地域のうち東京を含む8つの地域は、7月に電力網の安定性を維持するために必要なレベルまで予備率が低下する可能性があるという。

ブルームバーグ

(ブルームバーグ) --東京では今週、今年2度目の大規模な電力不足が発生し、オフィスでは節電のために消灯を余儀なくされた。しかし、最悪の事態はまだ来ていないのかもしれない。

首都圏の状況は今のところ本格的な危機には至っていないが、これは他地域の供給が十分で、電力会社が予備の電力を送ることができることが主な理由だ。しかし、この夏の終わりに猛暑が全国を覆い、停電の危険性が高まり、政府は節電をあらためて呼びかけることになる恐れがある。

電力供給が逼迫し、さらに海外の燃料費が高騰しているため、日本の家庭や企業の電気代は上昇し、停電の恐れがあるため、節電のための犠牲が広く求められることになる。つまり、日本は経済的・社会的混乱だけでなく、インフレ率の高い夏を迎えることになる。

東京の気温は摂氏36度を超え、6月のこの時期の熱波としては過去100年以上でも最悪のものとなっている。しかし、これは7月と8月に見られる最高気温が40度近くまで上昇する時期には遠く及ばない。日本の気象庁は、9月までもっと暑くなると予想しており、7月に猛暑になる可能性が高いとしている。

最悪のシナリオは、全国的な熱波によって北は東北から南は九州までエアコンと電力需要が増加し、東京への供給がほとんどなくなることだ。

これは、寒波と地震後の停電が重なり、東京の送電がほぼ停止した3月よりもひどい危機を引き起こす可能性がある。市民と企業による電力消費削減の努力だけが、ブラックアウトを回避するのに役立ったのである。

政府は金曜日から9月末まで、7年ぶりに全国で節電要請を行うと、NHKは報じた。

それでも、日本の多くの高齢者が熱中症の危険にさらされる猛暑の時期には、省エネを要求するのは難しくなるだろう。岸田文雄首相は今週初め、「夏の暑いときにはエアコンを使ってください」と述べた。「無理に節電しようとしないでください」。

政府によると、日本の9つの地域のうち東京を含む8つの地域は、7月に電力網の安定性を維持するために必要なレベルまで予備率が低下する可能性があるという。電力取引業者はすでに、東京の供給が今後数ヶ月間逼迫することに賭けており、電力先物を急騰させている。

日本の電力市場について顧客にアドバイスしている日本のコンサルタント会社、シュルマン・アドバイザリーの創設者であるダン・シュルマンは、「この夏、日本でさらなる供給不足が起こる可能性に備える必要がある」と述べた。シュルマンによれば、高温は日本の様々な地域を襲う可能性があり、また「供給側にも問題が生じる可能性がある」という。

実際、日本の梅雨が早く明けたことで、ダムの貯水量が少ないまま夏を迎え、水力発電所や火力発電所の出力が抑制される可能性がある。高知県の鮫浦ダムの貯水量は平年より50ポイント以上少なく、九州の油木ダムも昨年の同時期より約30ポイント少ない。

また、日本の電力会社は発電能力を増強するために休止中の発電所の再稼働に取り組んでいるが、供給を引き締める可能性のある後退がいくつかあった。関西電力は大飯原発4号機の再稼働を当初の目標であった月内から7月下旬に延期した。

一方、暑さの中で電力需要が増加しているため、全国の電力会社は発電所の燃料となる液化天然ガス(LNG)をさらに購入するよう求めている。日本最大の発電会社であるJERA(東京電力フュエル&パワーと中部電力が出資)や関西電力は、8月以降の出荷分を購入しようとしているが、世界的な燃料供給不足のため、国内では過去最高値に近い料金を支払う必要がある。

燃料コストをさらに圧迫しかねない動きとして、プーチン大統領は、サハリン2の天然ガスプロジェクトの権利をロシアの新会社に譲渡する法令に署名した。日本の商社である三菱商事と三井物産は、サハリン2プロジェクトに合計22.5%出資しており、そこで生産されるガスの大半は日本に供給されている。LNGの供給が途絶えれば、日本の電力セクターはさらに疲弊することになる。

消費者はすでに燃料費の上昇で打撃を受けている。東京電力は、8月の平均的な家庭の光熱費が10年以上ぶりに9,000円を超えると予想している。

--取材協力:Yuji Okada, Stephen Stapczynski

Shoko Oda, Masumi Suga. Tokyo Heatwave Hints at Even Bigger Power Crunch for Summer.

© 2022 Bloomberg L.P.