小型衛星打ち上げ会社がスペースXの無視できない対抗馬に

ロケットラボは日の出の勢いのロケット会社だ。数百,数千機の小型衛星を起動に配置して高速インターネットを作るトレンドに乗り、ウクライナ侵攻以降の軍事衛星活用の拡大を追い風にしている。


6月28日、6月にはNASAの宇宙船「CAPSTONE」を月軌道に送り込み、小型ロケットで深宇宙ミッションを打ち上げられることを実証した。人工衛星打ち上げ用の小型液体燃料ロケット「エレクトロン(Electron)」の上段の、小型衛星を軌道投入する部分の機能をベースに、人工衛星として運用可能にしたPhotonの複雑な宇宙空間での能力を証明した。

その1ヶ月前には、ヘリコプターで、34基の衛星を軌道に乗せるために打ち上げられたElectronブースターを空中でキャッチすること試み、ロケットの再利用に向けた重要な一歩を踏み出していた。

さらに、7月13日と8月4日には、米国国家偵察局のために2つのミッションを打ち上げた。ロシアのウクライナ侵攻直後、衛星情報企業であるBlackSkは、紛争地域の真上に衛星を配置するため、打ち上げの数日前にロケットラボに軌道変更を依頼した。従来、このようなミッションの変更には数カ月を要していたが、ロケットラボは45日でこれを成功させたとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じている。

このように、各国政府が迅速な打ち上げを望むことで、新たな機会が生まれている。イーロン・マスクのSpaceXは、大型の再利用可能なFalconロケットで何年もかけて宇宙経済に革命を起こしてきたが、最近では、キログラムあたりの価格は高いが、小型衛星を特定の軌道に極めて速い期間で送ることができる軽量ロケットの提供に乗り出す新興企業が続出している。

ロケットラボは、今年10~12機のElectronの打ち上げを予定しており、打ち上げ回数では、SpaceXに次いで世界で2番目に活発な欧米の打ち上げサービスプロバイダーとなる見込みだ(これまでに149基の衛星を宇宙に打ち上げている)。もちろん、軌道に乗る重量で言えば、United Launch AllianceやArianespaceなどの方が上位になる。

ロケットラボは18日ごとにElectronを製造することができ、現在の需要を上回っている。「最初のロケットは、エンジニアが何年もかけて制御された環境で作るものだ」と創業者兼CEOのピーター・ベックはウォール・ストリート・ジャーナルの記者に対して語っている。「20回目のロケットは、技術者が説明書を読みながら作るもので、工程がすべてだ」

ロケット工学を独学で学んだニュージーランド人ピーター・ベックがニュージランドで2006年に設立した、ロケットラボは、アメリカの上場航空宇宙メーカーで打ち上げサービスを行っている。2009年、「Ātea-1」の打ち上げに成功し、ロケットラボは南半球の民間企業として初めて宇宙へ到達した。その後、2013年にカリフォルニアに本社を移し、使い切り型のエレクトロンロケットを開発。このロケットの初打ち上げは、2017年5月に行われた。2021年8月、ロケットラボは特別目的買収会社(SPAC)との合併により、ナスダック証券取引所に上場するパブリックカンパニーとなった。

地政学的な不安がエスカレートすることで、この防衛関連製品の市場が急速に拡大する可能性がある。国防総省の2022年度予算には、同様の打ち上げ費用として5,000万ドルが計上されているが、議員らは2023年度には1億5,000万ドルに引き上げるよう求めている。欧米の政府や企業がロシアのソユーズロケットを受け取らなくなったため、打ち上げサービスの市場はさらに有望になってきた。

ロケットラボはスイートスポットを見つけたようだ。同社はいま、Electronの後継機であり、完全再利用可能な1段目で8トンの衛星を地球低軌道に投入できるニュートロン(Neutron)の開発に多額の投資をしている。Neutronはメガコンステレーション用の小型衛星を大量に運搬するのに適している。

さらに、この会社は他のSPAC上場企業とは異なるようだ。第1四半期の収益前は4,100万ドルで、前年同期比124%増である。2024年には営業利益がプラスになると予想されている。赤字の主要因はNeutronへの投資だ。同社の収益の3分の2から4分の3は、人工衛星の部品製造によるもので、収益性を担保してある。