政府による暗号通貨の追跡を支援する86億ドルの新興企業
Chainalysisの共同創設者兼最高経営責任者のマイケル・グロネージャー氏。Photographer: William Mebane for Bloomberg Businessweek

政府による暗号通貨の追跡を支援する86億ドルの新興企業

FBIは、暗号通貨取引に関与する主体や資金の行き先を追跡するソフトウェアを開発したChainalysisという会社の助けを借りている。このスタートアップは、暗号関連の犯罪を捜査する米国やその他の政府にとって重要なパートナーだ。

(ブルームバーグ・ビジネスウィーク) -- 2021年5月、米国最大のガソリンパイプラインを運営するコロニアル・パイプラインに対し、ハッカーがサイバー攻撃を開始した。米国当局が何年も恐れていたような事件だった。コロニアルは6日間の操業停止を余儀なくされ、パニック買い、品不足、ガソリン価格の上昇を招いた。同社は、ハッカーに75ビットコイン(当時約440万ドル相当)の身代金を支払った。

約1カ月後、米司法省は、ほぼすべてのビットコインを取り戻したと発表した。犯罪者が暗号通貨を好むのは、追跡が困難とされていることもあるが、FBIは身代金のコロニアルが、攻撃者と関連するロシア系サイバー犯罪グループDarkSideに結びついたアドレスに支払われたことを突き止め、急襲してこれを押収していた。これは、米国の法執行機関が、国外で活動する攻撃者が保有する資産を入手できることを示すもので、サイバーエクスプロイトとの戦いにおける画期的な出来事となった。「FBIの手の届かないところはない」と、ポール・アベイトFBI副長官は声明で述べた。

FBIは、暗号通貨取引に関与する主体や資金の行き先を追跡するソフトウェアを開発したChainalysisという会社の助けを借りていた。このスタートアップは、暗号通貨関連の犯罪を捜査する米国やその他の政府にとって重要なパートナーとなっており、歴史的に反体制的な業界における体制側の私的な目となっている。暗号通貨犯罪の世界で「我々が関わっていない重大な事件はほとんどない」と、Chainalysisのグローバル公共部門最高技術責任者(CTO)であるガーベス・グリッグは、以前23年間FBIに勤務していた。

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