落日のゴールドマン、不採算のフィンテック事業売却を検討

ゴールドマン・サックスは、不採算の消費者向け部門の一部を売却しようとしている。同行は新しい収益の柱と見込んだビジネスがうまくいかず、ウォール街のライバルに置いてけぼりを食っている。


ゴールドマンのCEOであるデービッド・ソロモンは、火曜日に開催された投資家向け説明会で、割賦融資プラットフォームGreenSkyの売却を検討していることを明らかにした。ソロモンは、マンハッタン本社で行われたプレゼンテーションで、消費者向けビジネスについて「競争上の優位性を欠いていたこと、あまりにも早くやり過ぎたことが明らかになった」と述べた。

ゴールドマンは2021年後半にGreenSkyを約22億4,000万ドルで買収することに合意し、同社の消費者金融プラットフォームMarcusに加えた。消費者向け部門はゴールドマンのAppleカードなどのクレジットカード・パートナーシップも含む。

これらがゴールドマンの業績の足を引っ張っていた。ブルームバーグが1月に報じたところによると、2021年に報告された同部門の税引き前損失10億ドルは主にAppleカードに関連するもので、2022年の約20億ドルは主にAppleカードと割賦融資プラットフォームGreenSkyに起因するものだという。

多角化の試みは、ソロモンの前任者であり、2006年から2018年まで同行を経営したロイド・ブランクファインによって開始された。2016年、彼は1869年にゴールドマンを創業したマーカス・ゴールドマンにちなんで、「Marcus by Goldman Sachs」と名付けた消費者向け(リテール)銀行を立ち上げた。

ゴールドマンはその後、融資事業を開始。この計画は、顧客がクレジットカードの負債を管理できるように、最大3万ドルの個人向けローンを提供するものだった。中国のAlipayやWeChat(微信)で提供される消費者金融やウェルス・マネジメントに着想を得たビジネスは、当時、欧米でしきりに模倣された。類似した無数のフィンテック・ユニコーンは2021年のパンデミック・バブル時にその絶頂に達すると、2022年から急激に現実を直視させ羅ることとなった。ゴールドマンのフィンテック事業も同様の状況をたどることになった。

ゴールドマンサックスの試みはそこで止まらなかった。その後すぐに、ブランクファインが企画し、ソロモンが2019年に立ち上げたAppleとのクレジットカードの提携が始まった。2021年、ソロモンは住宅資金融資を行うオンラインプラットフォーム、GreenSkyを22億ドルで買収し、消費者金融事業をさらに拡大させた。2020年以降、累計で38億ドルの税引き前損失を計上している。年次の税引き前損失は2020年の8億ドルから2022年には19億ドルに拡大した。

1月17日、ゴールドマンは2022年第4四半期にわずか13億ドルの利益と4.8%の有形自己資本利益率(ROTCE、収益性を測る指標)という悲惨な業績を発表。ゴールドマンはもはやウォール街の捕食者の地位を失ったのだ。