風力と太陽光の普及により発電によるCO2排出量はすでにピークに達した可能性
発電に関連する世界の二酸化炭素排出量は2022年にピークを迎えた可能性があり、化石燃料に代わって風力や太陽光発電が普及するにつれて減少に転じるだろう。

(ブルームバーグ) – 発電に関連する世界の二酸化炭素排出量は2022年にピークを迎えた可能性があり、化石燃料に代わって風力や太陽光発電が普及するにつれて減少に転じるだろう。
電力部門から排出される二酸化炭素の削減ペースは、地球温暖化を抑制し、気候変動による被害を拡大させないために極めて重要である。気候シンクタンクEmberの研究者によると、排出量は今年からわずかに減少し始め、風力と太陽光がさらに成長するにつれ、年々大きくなっていくとのことだ。
「化石燃料時代の終わりの始まりです」と、Emberのアナリスト、Malgorzata Wiatros-Motykaは述べている。

風力発電所やソーラーパークの建設が急増しているにもかかわらず、これらの技術は今のところ化石燃料を燃やす需要を止めることはできていない。国際エネルギー機関(IEA)によると、昨年は再生可能エネルギーが電力需要の大半を満たした。しかし、石炭燃料の使用を段階的に削減するという世界的な約束にもかかわらず、2022年に石炭発電が過去最高を記録することを止めることはできなかった。
しかし、昨年のエネルギー危機は、エネルギー安全保障を政治課題の最上位に押し上げることにつながった。その結果、各国が地域の再生可能な電力源を活用することを後押しすることになった。
Emberの予測によると、今年、風力発電と太陽光発電は十分に拡大し、化石燃料による総電力生産量はわずかに減少し、少なくとも2026年まで減少が続くとされている。2023年には、電力需要を圧迫するリスクのある世界経済の低迷や、昨年干ばつやメンテナンスの問題で停滞した原子力発電所や水力発電所の回復により、再生可能エネルギーはさらに恩恵を受けるかもしれない。
化石燃料を使用する電力が減少することは、気候変動防止対策にとってプラスであるが、この数字は、地球温暖化を1.5℃に抑えるというパリ協定の目標達成に向けた道のりが、まだ遠いことを示す。今後、化石燃料が減少しても、Emberの分析によると、2026年には、協定が最初に締結された10年前よりも3%多く電力を生産することができるそうだ。
CO2 Emissions From Electricity May Have Already Peaked as Wind and Solar Take Over
By William Mathis
© 2023 Bloomberg L.P.
翻訳:吉田拓史、株式会社アクシオンテクノロジーズ