シンガポールの再開発ブーム、巨額の資金とバブルの恐怖を引き寄せる
金融の中心地である香港をはじめ、世界のあちこちで暗い雰囲気が漂う中、東南アジアの都市国家がパンデミック後に再開したことは、この国の人気の表れであり、勝利の瞬間であった。

(ブルームバーグ)-- 今月初め、シンガポールで3年ぶりに開催されたF1カーレースには過去最高の30万2,000人が来場した。3日間のグランドスタンド席に900ドルを払う人もいれば、マリーナベイのコースを見下ろすホテルのスイートを1万ドルもする値段で予約する人もいた。ナイトクラブのテーブルは、一晩で7万ドルもする。
金融の中心地である香港をはじめ、世界のあちこちで暗い雰囲気が漂う中、東南アジアの都市国家がパンデミック後に再開したことは、この国の人気の表れであり、勝利の瞬間であった。お金と人がシンガポールに流れ込み、家賃や不動産価格を空前の高値に押し上げ、トヨタの車体価格を11万1,000ドル以上にまで押し上げている。

水面下では、事態はそれほどバラ色ではない。政府は高給取りの人材をより多く引き寄せるために新たな長期ビザを造成しているが、生活費が高騰する中、国民を満足させるために微妙なバランス感覚に直面している。
法律事務所TSMP Law Corp.の共同経営者であるStefanie Yuen Thio氏は、「シンガポールはビジネスに対してオープンであることを示し、世界の金融震源地のひとつになるべく自らを位置づけています」と語る。しかし、彼女は現在のブームを、地元の人々のコストを押し上げる「バブル」と見ている。「国家が管理しなければならないことです」。
世界の多くの地域が不況の瀬戸際にある中で、シンガポールが復活を遂げていることに疑いの余地はない。外国人が何百万ドルもするマンションを買い占めている。ヘッジファンドの巨人レイ・ダリオからインドの大富豪ムケシュ・アンバニまで、投資家たちはこの街にオフィスを構えている。シンガポールの通貨は今年アジアで最も強く、月曜日までの株価指数は2022年に上昇した唯一の先進国市場指標だった。