ソニーとマイクロソフトの覇権争いの生々しい実態が明るみに

マイクロソフトとソニーの覇権争いの生々しい実態が、約9兆円の大手ゲーム会社の買収に対する各国の審査によって明るみに出ている。コンテンツを制するものがゲームビジネスを制する、のは変わらないようだ。


米ゲーム専門メディアVGCによると、マイクロソフトは、アクティビジョン・ブリザードの買収を審査するブラジル当局に提出した文書で、ソニーがゲーム開発者にお金を払って、自社のXboxゲームパスのようなサブスクリプションサービスへの提供をブロックしていると主張した。

「ゲームパスの拡大を継続するマイクロソフトの能力は、そのような成長を阻害するソニーの欲望によって妨害されている」とVGCが確認した文書の中でマイクロソフトは述べている。「ソニーは、開発者がゲームパスや他の競合する定額制サービスにコンテンツを追加するのを阻止するための『ブロッキング権』にお金を払っている」

ソニーは先月末、ブラジル当局に対し、マイクロソフトによる総額687億ドルのアクティビジョン・ブリザード買収を非難していた。アクティビジョンの人気ゲーム「コール ・オブ・デューティ」はファースト・パーソン・シューター(FPS)という最も人気のあるジャンルを支配しており、「『コール・オブ・デューティ』はユーザーのゲーム機選びに影響を与えるほど人気があり、その忠実なユーザーのコミュニティは、競合他社が同様の製品を開発する予算があったとしても、対抗できないほど定着している」とソニーは説明した。

ソニーは質問書の中で、コールオブデューティーの開発リソースから競合他社が対抗できる可能性は低いと指摘している。「ゲームソフトの開発には約1,200人、パブリッシングと配信にはさらに1,500人が携わっている。したがって、コール・オブ・デューティだけで、AAAスタジオ(AAA級の作品を制作するゲーム開発スタジオ)を含むほとんどのゲーム会社が雇用するよりも多くの開発者を抱えている」

ソニーは、過去10年間コール・オブ・デューティは「圧倒的にベストセラーのゲーム」であると付け加えた。

これに対して、マイクロソフトはブラジル当局に対する回答書で、ソニーがプレイステーションブランドの運営において独占戦略を採用していることから、コール・オブ・デューティがXboxの独占タイトルになる可能性を懸念するのは「支離滅裂」だと反論した。

マイクロソフトは、定額制サービスがソニーの「コンソールゲームのデジタル配信市場における優位性」を脅かすものであると指摘し、ソニーの行動は、その優位性を崩すことを避けたいためであるとした。

マイクロソフトが2022年6月、同じく買収を調査している英国競争・市場庁(CMA)への回答で「アクティビジョン・ブリザードのビデオゲームに関しては、ライバルであるPCやコンソールのビデオゲーム販売業者にとって『必需品』であり、差し押さえの懸念を生じさせるような独自のものはない」とソニーの主張を否定している。

Xboxのトップであるフィル・スペンサーは、マイクロソフトがコール・オブ・デューティの現行契約を全て尊重する、と知的所有権(IP)を自社のプラットフォームで独占しないことを明言している。