米国でトランスジェンダーの若者が急増
ワシントンの最高裁の外でトランスジェンダーの旗を掲げるデモ参加者(2019年10月8日)。米国では約160万人がトランスジェンダーで、その43%が若年層または10代であることが、この人口に関する最新の全米推定値を提供する新しい報告書によって明らかにされた。(Anna Moneymaker/The New York Times)

米国でトランスジェンダーの若者が急増

米国疾病対策センター(CDC)の健康調査に基づく新たな推計では、米国のトランスジェンダー人口の増加に伴い、世代交代が顕著に進んでいることが指摘されている。

ニューヨーク・タイムズ

[著者:Azeen Ghorayshi]米国では約160万人がトランスジェンダーで、その43%が若年成人またはティーンエイジャーであることが、この人口に関する最新の全国推定値を示す新しい報告書によって明らかにされた。

2017年から2020年にかけて実施された政府の健康調査に依拠した分析では、13歳から17歳の1.4%、18歳から24歳の1.3%がトランスジェンダーであり、成人全体の約0.5%と比較して、トランスジェンダーであると推定されている。

この数字から、若年層で大きく増加していることが明らかになった。13歳から25歳のトランスジェンダーの推定値は、2017年に発表された研究者の前回の報告書からほぼ倍増しているが、この報告書は異なる方法を用いている。

このデータは、厳しい世代交代を指し示している。若者は自分のジェンダーアイデンティティを探求するための言語と社会的受容をますます得ているのに対し、高齢者はより制約を感じているかもしれないと専門家は述べている。しかし、州によって大きく異なるこの数字は、仲間の影響や地域社会の政治的風潮の役割についても疑問を投げかけている。

「10代の若者が自分のアイデンティティのあらゆる面を探求するのは、発達段階において適切なことであり、それが10代の若者がすることだ」と、今回の分析には参加していない、ミネソタ子供病院のジェンダー・ヘルス・プログラムの医療ディレクターであるアンジェラ・ゲップファード博士は言う。「そして、世代的に、ジェンダーは、より社会的に受け入れられるアイデンティティの一部となっているのだ。

ノンバイナリー(自身の性自認・性表現に「男性」「女性」といった枠組みをあてはめようとしないセクシュアリティ)であるゲップファードは、多くのティーンエイジャーが、古い世代に典型的であったように、別の性別に移行するための薬や手術を必ずしも望んだり必要としないであろうことを指摘した。

米国疾病対策予防センター(CDC)が実施した今回の調査では、近年増加傾向にあるノンバイナリーやその他の性自認について、10代の若者には尋ねていない。しかし、トランスジェンダーであると答えた成人の4分の1近くは、トランスジェンダーの男性や女性として認識していないことを意味する「ジェンダー・ノンコンフォーミング」であると回答している。

「私たちは、文化として、私たちの間に性の多様性があるという事実を受け入れる必要がある」と、ゲップファードは言う。「そして、それは、すべてのケースで医学的に治療する必要があるということではなく、社会として、そのためのスペースを作る必要があるということだ」

この新しいデータは、米国におけるLGBTQ集団の人口統計、行動、政策上の懸念に関する高い評価を受けたレポートを作成しているUCLA法科大学院の研究センター、ウィリアムズ研究所の研究者によって分析されたものだ。

トランスジェンダーの人口に占める10代の割合は、不釣り合いに大きいことがわかった。10代の若者は米国の総人口の7.6%に過ぎないが、トランスジェンダー人口の約18%を占めている。同様に、18歳から24歳は全人口の11%を占めるが、トランスジェンダー人口の24%を占めた。

高齢者のシェアは不釣り合いなほど少なかった。全人口の62%を占めるが、25歳から64歳のトランスジェンダーは47%に過ぎない。また、アメリカ人の20%は65歳以上だが、この年齢層は全米のトランスジェンダー総数の10%しか占めていない。

ウィリアムズ研究所は、全米の成人を対象に実施されたCDCの「行動危険因子サーベイランスシステム」と、高校で行われた「青少年リスク行動調査」という2つの全国的な情報源から得たデータを使用した。この調査は、電話または対面式で行われ、人口統計のほか、喫煙習慣、HIVの感染状況、栄養、運動など、さまざまな医療・行動に関するデータを収集する。

2017年から、高校生の調査には、生徒がトランスジェンダーであるかどうかを尋ねる質問がオプションで追加された。2017年から2020年にかけて、15の州が高校生の調査にこの質問を含め、41の州がその期間に少なくとも一度は成人向けの質問を含めた。

ウィリアムズ研究所は、このデータと、人口統計学的および地理的変数の統計的モデリングを用いて、全国のトランスジェンダー人口の推定値を導き出した。

ウィリアムズ研究所の公共政策担当上級研究員で、この報告書の主執筆者であるジョディ・ハーマンは、「トランスジェンダーの人々は米国のどこにでも住んでおり、トランスジェンダーの人々は全米のコミュニティの一員であることを知ることが重要だ」と述べている。「私たちは入手可能な最高のデータを使っていますが、より多くの、より良いデータが常に必要だ」

米国国勢調査局は、新しいデータ収集の一環として、昨年から性的指向と性自認に関する質問を始めたばかりである。そして、この脆弱な人々を研究する上で重要な国の自殺統計でさえ、セクシュアリティや性自認に関する情報を持っていないのだ。

最近、ソーシャルメディアの世論調査をもとに独自のレポートを発表した自殺防止団体Trevor Projectの代表アミット・ペイリーは、若いLGBTQの人々が高い割合で精神衛生上の問題や自殺願望を持っていることを示した。

「そのデータは、政府が死亡記録で収集していないため、存在しない」とペイリーは言った。「それは、私たちが変えようと努力していることだ」

前回のレポートが2017年に発表された時、ウィリアムズ研究所の研究者達は、10代の若者の実際の調査データを持っておらず、代わりに大人のデータを基に統計的モデリングで外挿した。当時、彼らは国内のトランスジェンダーの10代は15万人、10代のおよそ0.7%と推定していた。

2017年に新たに追加された高校生の調査データを含めると、その推定値は現在、30万人に倍増している。

思春期の数字は、15の州で集められた調査に基づいている。コロラド、デラウェア、フロリダ、ハワイ、メイン、メリーランド、ミシガン、ネバダ、ニュージャージー、ニューヨーク、ペンシルバニア、ロードアイランド、バーモント、バージニア、ウィスコンシンの15州で収集された調査に基づいている。次に研究者たちは、その調査データを使って、州や個人の特性がトランスジェンダーである確率にどのような影響を与えるかについてのモデルを作成した。そのモデルと国勢調査の人口統計データを用いて、他の35州とワシントンD.C.の推定値を算出した。

10代のトランスジェンダーに関わる専門家たちは、数十年前にゲイやレズビアンの人々が初めて大勢でカミングアウトしたときと同じように、ある種の社会的要因が彼らのアイデンティティに間違いなく影響を与えるだろう、という点で意見が一致した。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校の心理学教授で、性的・性別的多様性研究所の所長であるフィリップ・ハマックは、「これは、新しい世代が自分の性自認に自信を持っていることを意味する」と述べた。「これは、90年代に、ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルというレッテルを貼ることで、より認知度が高まったことと非常に似たようなことが起こったと思う。おそらくそれを裏付ける正確な数字を持っていなかっただけだろう」

ウィリアムズ研究所が分析した最近のギャラップの世論調査データでも、米国におけるLGBTQの総人口のうち、若年層が不釣り合いに大きな割合を占めており、これも同様に州によって差があることが示されている。

ソーシャルメディアは、今日、ティーンエイジャーが自分のジェンダーアイデンティティに疑問を抱く大きなきっかけとなっている。

オースティンに住む20歳の大学生、インディゴ・ジャイルズは、テキサス州がトランスジェンダーの子どもを持つ親を調査していることに抗議し、「その大きな要因は間違いなくインターネットだと思う」と話す。

ジャイルズは、Tumblrで同じ考えを持つ人たちのコミュニティを見つけて、自分たちがノンバイナリーであることに気づいたと言いる。「長い間、このような感情を抱いていながら、それを表現する言葉を持っていなかった人たちが、このように気軽にアクセスできる方法で、同じように感じている人たちを見ることができる」と、彼らは語っている。

逆に、高齢者が自分のジェンダーアイデンティティを探るのは、もっと難しいかもしれない。

ハマックは、ある人物にインタビューした際、50代でノンバイナリーをカミングアウトするのがいかに難しいかを語ってくれた。「周りを見渡すと、みんな若いものだ」。また、ボーイッシュレズビアンやブッチレズビアンを自認する人たちは、「もし私がそんなに若かったら、その道に進んだかもしれないけれど、それは無理だった」と話しているという。

ミネソタ子供病院のゲップファードは、高齢のトランスジェンダーの割合が少ない理由として、もう一つ考えられることを指摘した。医療へのアクセスが悪く、暴力や自殺が多いため、トランスジェンダーは若年で死亡する可能性が高いのだ。

「厳しい現実として、トランスジェンダーの年長者がいないのは、彼らが生き延びられなかったからだ」と彼らは言う。

Original Article: Report Reveals Sharp Rise in Transgender Young People in the U.S.

© 2022 The New York Times Company.